にちくんばっくほるべちくるという男 vol 5

ドキドキの再会 ページ31

すごく・・緊張してる。


大きく深呼吸して
バースデーバルーンを片手に
両開きの大きな扉を開けると



そこに・・
ニックンがいた。


ニックンだ・・。


ニックンの隣には
ニックンの荷物を運ぶ
ベルボーイの男性。


'お誕生日おめでとう'


はやる気持ちを抑えきれなくて
声には出さず口の動きだけで
ニックンにそう伝えて
バルーンをゆらゆらさせると


'ありがとう'


ニックンも同じように
こっそりそう言って
私達は微笑み合った。


ベルボーイの男性が部屋を出ていき
2人きりになると

ニックンは改めて私を見て
満面の笑みを浮かべた。


「ヌナだ」


久しぶりに目にしたニックンに
正面から見つめられると
照れて・・頬が熱くなる。


「待って・・ドキドキする」


両手を頬にあてた私を
クスクス笑うニックン。


「ドキドキする？
俺もしてるよ」


顔を覗き込まれて
そう言ったかと思ったら


「やっと会えたね」


そう言って・・抱きしめられて
不意にニックンの香りに包まれた。


うゎん・・泣く。


感じるときめきに
体中が満たされていく。


「会いたかった・・？」

耳元に大好きなニックンの声。


「うん・・」
　

「俺も会いたかったよ」


ニックンの手が
当たり前に
彼を見上げた私の首筋に
優しく滑り込んでくると

もう・・それだけで
胸が苦しい。


「誕生日・・おめでとう・・」


小さく微笑んで頷いたニックンが
首を傾け
すぐに重なる・・唇。


甘い・・甘いキスに
胸の鼓動が聞こえてきそう。


ニックンのキスは
いつも・・私を死ぬほど
ときめかせてくれる。


ずっと・・こんな風に
ニックンとキスしたかった。




私達はこれから
チャオプラヤ川を望むこの
美しい部屋で

誰にも邪魔されず
29時間を・・過ごす。

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