覚悟そして不安 ページ26
「Aさんて
本当は彼のどこが好きなの?」
唐突そう聞きながら
私のサングラスに手を伸ばし
それを指先で摘んで
下にずらすヨンジェ。
「唐突にそんなこと聞くの?」
それをすぐに
元の位置に戻す私。
「そうとう泣いたんだね」
「だからサングラスしてるんでしょ」
ヨンジェは
わざとらしく顔を顰めて
不服そうな顔をした。
「昨日は軽いノリで顔って言ってたけど
彼の何が良くて、こんな制限の多い関係を
受け入れようとしてるんだよ?
普通の男と付き合えばもっとラクに会えるし
Aさんらしくいられるのに」
本当にそう・・
確かにヨンジェの言う通りだ。
ニックンのこと大好きだし
彼が私の理想の男だってことは認めるけど
私はニックンの何にそんなに
惹かれてて
彼じゃなきゃいけないんだろう。
全てはあの日に始まった。
あの飛行機の中で。
「・・とにかくときめくの。
彼といると、死ぬほどドキドキするし
一緒にいるとすごく幸せな気分になる」
言ってて恥ずかしいけど
多分・・これが答えなんだと思う。
感じたことのない
ときめきや幸せを
ニックンはくれる。
「彼と過ごす一瞬のときめきや幸せの為に
Aさんの生活全部を投げ出せるってこと?」
「彼と一緒にいたいってだけで
そこまで大ごとになっちゃう・・?」
殆ど喉を通らなかったサラダボウルに
蓋をしながら
ヨンジェの切れ長の目を見つめる。
「彼が夜中の3時過ぎに
雨の中わざわざAさんに会いに来て
伝えたかったのって、結局そういうことだよ。
彼の都合に合わせろってこと。
彼の立場ならそう考えて当然だと思うけど
Aさんだって、それなりに覚悟を決めなきゃ」
この先
何が起こるか想像もつかないのに
何を覚悟をしとけばいいの・・
不安になるよ。
「不安にさせないでよ」
「だって、そういうことでしょ?
それでも彼と一緒にいたいんだよね」
「一緒にいたいに決まってるでしょ
だって・・やっとだよ?
ヨンジェだって知ってるじゃない、
私のこれまでの苦労。
やっと彼に好きになって貰えたんだよ?
他に選択肢なんてないよ」
そう言葉にしても
不安な気持ちは消えなかった。
そして
その日の夕方、
ヨンジェと会社を出て
地下鉄の駅に向かう途中
その不安を更に
大きくすることが起こった。
私達の後をつけて来る
1人の男。
最初は気のせいだと思ってたけど
気のせいなんかじゃなかった。
彼は私達と同じ駅で
地下鉄を降りた。
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胡麻油(プロフ) - vol.624まで読みたいです♡笑 (4月14日 21時) (レス) @page44 id: 5d4609bdae (このIDを非表示/違反報告)
凛生(プロフ) - 麻樹子さん» ありがとうございます(°▽°)覚えていて下さってまた読みに来て頂き感謝の気持ちでいっぱいです。この先もドキドキして貰えたらいいな(^-^) (3月1日 17時) (レス) @page12 id: 604374d13e (このIDを非表示/違反報告)
麻樹子(プロフ) - 凛生さん、お久しぶりです。長い間ずっと待ってました。今は2PMのお話が更新されなくなりとても淋しい気持ちでした。またドキドキするお話を拝見する事ができてすごく すごく楽しみです。ありがとうございます。 (2月28日 20時) (レス) @page10 id: 844b947a69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛生 | 作成日時:2024年2月16日 20時