�� ページ33
扇風機だけの蒸し暑さ。
クーラーが効く、この部屋。
畳と潮の香り。
香水の混じった、倫也先輩の部屋の匂い。
なにもかも違うのに、あの時の気持ちが流れ込んでくるから困る。
さよなら、あの日の私。
きっと今日でお別れ。
「俺さ、スマートにやれる自信、ないんだけど、笑わないでね？」
ハグしたままお喋りする倫也先輩は、少し照れているみたいだった。珍しい。
「笑うわけないです、私こそ、緊張しすぎて、今日の記憶ないかもしれない」
「はは。それは覚えててほしいんだけど」
「倫也先輩は、」
初めてじゃないでしょう？
だって慣れてる、キスとか。思って、軽い気持ちで聞いてみると、
「最後までは、ない」
「はじめて」
って、言うから。
え！思わず声を上げる。
そんな驚く？ってさりげなく私の耳にちゅってキスして、体を離して正面からこちらを見る照れた顔。耳が少し赤くて、可愛い。
「俺、こういうの、ちょっと潔癖っていうか、苦手なの、ほんとは」
「....こういうのって、」
「今まで付き合った人とは、キスとか気持ちよくなくって、なんだろ。ぶわわって、鳥肌みたいな。だから、最後まで辿り着きたい欲望もなくってさ。変だなー、って。俺やばいのかなーって、思ってたんだけど」
自分から付き合いたいって、初めて思ったのがAで、キスして気持ちいって感じたのも、初めてで、実は。
「こんなのカッコ悪くて、言えんかった」
年上なのにね？って。
ちょっと情けなく笑う。
きゅう、と気持ちがくすぐられて、私から倫也先輩の頬にちゅ、と口付けると、そこから指先を絡ませて、倫也先輩からキスされる。
ついばむように、唇をはむはむと食んで、何度も何度も、遊ぶようなキスをする。
「先輩は、かっこいい」
「んはは。前も言ってくれた、それ」
「初めてなの、嬉しいです」
「ですか。お恥ずかしい。リードできるようにがんばる」
「ふふ、先輩、一緒に、少しずつ」
「うん、俺のお姫様」
深くなっていくキスに、熱い舌先、シャツのボタンをぎこちなく外す少し震えた指先、甘い炭酸味のキス。目が合うと安心させるように目尻を下げる、垂れた瞳。
全部が愛おしく思えて、私の知らない場所は、とろけていく。
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ヨーコ(プロフ) - ドキドキ止まりません！最高です！更新楽しみにしています♪ (2020年4月4日 20時) (
レス) id: b9e84898e5 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます〜！楽しみにしていただけて嬉しいです。そろそろ終わりに向けて、と思ってますが、もう少しお付き合いくださいませ♪( ´▽｀) (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ショウさん» いつもありがとうございます〜！寒いの苦手なのは倫也さんのリアルを意識してみました( ´ ▽ ` )もうしばらくお付き合いくださいませ！ (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新とても嬉しいです！題名が２匹と書かれていたのでドキドキしながら読みました！そのさんの作品を見るのが今の私の楽しみです！少女漫画のようにきゅんきゅん毎回させてもらえて幸せな気持ちになります！これからも応援しています！ (2020年2月6日 15時) (レス) id: 57aaad4ad9 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 感想遅くなりましたが、らいおんの告白とても胸に響きましたっ！2匹のやり取りの続きもとても楽しみに待ってます、おおかみが寒がりなところ保温ポット愛用されてるのでピッタリですね 笑 (2020年2月5日 15時) (レス) id: bd7e526c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：その | 作成日時：2019年12月10日 12時
