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予定より早く、倫也先輩の家に着いた。
映画を観て、お昼を食べて、のはずだったけれど。
結局映画は半分も観ていないし、ほぼ手つかずのポップコーンは持ち帰りの袋にいれてもらって、今、倫也先輩の部屋のテーブルの上に置かれている。
理由は、わかってる。
お互い。
飲み物持ってくんね、言って階下へ降りて行った倫也先輩は、ペットボトル複数と、グラスを両手に抱えて戻ってきた。
「麦茶と、ジュースと、炭酸と、どれにする？」
「たくさんありますね？」
「母さんが、Aくるって言ったら色々用意してて」
「あは。嬉しい」
「大好きみたいよ、Aのこと。男兄弟だから、娘みたいで可愛いって」
「それは、光栄です」
「誰もいないからって、変なコトするなよ、って、言われた」
「変なコト」
「そう、変なコト」
倫也先輩が隣に腰を下ろして、横目で私を見ながら言う。
「変なこと、します、よね、きょう」
ぽろっと口から出た言葉に、何言ってるんだろうと言ったそばから後悔して、倫也先輩はでもそんな私の発言を笑ってくれる。
「んはは。でた、Aのぶっ込んでくるやつ」
多分、倫也先輩も緊張していて、でもその笑い声と目尻の皺が、少し空気を柔らかくしてくれた。
緊張してる、とても。
ちょっと吐きそうなくらい。
お腹も空かないくらい。
喉は、カラカラ。
麦茶もらっていいですか？言うと、開けて注いでくれて、グラスを渡してくれた。
それをごくごくと、半分くらい一気に飲んでしまう。
倫也先輩は甘い炭酸を開けて、ボトルから直接飲んだ。喉仏が、きれいに動くのをじいっと見つめる。
男の人。
私にはない。
男の人の体って、どんな風なんだろう。
「あのさ、俺」
「はい」
「Aと付き合いはじめたの、去年の秋で」
「うん」
「まだ一年経たないけど」
「９ヶ月、ぐらいですね？」
「もっともっと、知りたいって思ってて」
「.....はい」
「俺に、くれる？」
初めて、って、倫也先輩は私の顔を覗き込むように訊ねた。
両手で持ったままだったグラスをテーブルに置いて、こくん、と頷く。彼の視線で、火傷しそうだと思った。恥ずかしくて、俯く。
ふわ、と倫也先輩の香りが強くなって、柔らかく抱きしめられた。私の肩に顎が乗る。
「好きだよ、A」
「私も、倫也先輩がすき」
菅田の頭を抱えるようにして抱き締めた、あの狭い古めかしい畳の部屋。どうして今そんなこと、思い出すんだろう。
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ヨーコ(プロフ) - ドキドキ止まりません！最高です！更新楽しみにしています♪ (2020年4月4日 20時) (
レス) id: b9e84898e5 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます〜！楽しみにしていただけて嬉しいです。そろそろ終わりに向けて、と思ってますが、もう少しお付き合いくださいませ♪( ´▽｀) (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ショウさん» いつもありがとうございます〜！寒いの苦手なのは倫也さんのリアルを意識してみました( ´ ▽ ` )もうしばらくお付き合いくださいませ！ (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新とても嬉しいです！題名が２匹と書かれていたのでドキドキしながら読みました！そのさんの作品を見るのが今の私の楽しみです！少女漫画のようにきゅんきゅん毎回させてもらえて幸せな気持ちになります！これからも応援しています！ (2020年2月6日 15時) (レス) id: 57aaad4ad9 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 感想遅くなりましたが、らいおんの告白とても胸に響きましたっ！2匹のやり取りの続きもとても楽しみに待ってます、おおかみが寒がりなところ保温ポット愛用されてるのでピッタリですね 笑 (2020年2月5日 15時) (レス) id: bd7e526c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：その | 作成日時：2019年12月10日 12時
