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小屋の前に隣り合って並んでしゃがみ込んで、数匹のうさぎを眺める。シン、と、無言。気まずい。話すこと、何かあったかな?いや、ないよね。共通点、何もないし。うーーん、悩んでいると
「どの子が好き?」
「え?」
「この子たちの中で」
「ああ、えーっと、白い子です」
「わー、おなじ。俺も」
「茶色の子も可愛いんですけどね」
「ウンウン、捨てがたいけどね」
「中村先輩、部活行かなくていいんですか?」
うさぎを眺めてた先輩は、こちらを見た。じい、と私の目を見てくるから、なにごとかと思う。
「俺の名前、知ってんだね?」
ああ、やってしまった。
いや、やってしまってはないのか?
別に、深い意味はないんだし。
「知って、ました。一年の間で、先輩はけっこう、」
「けっこう?」
「人気があります、ので」
変な日本語になってしまう。
白いお気に入りのうさぎがぴょんぴょん跳ねて、こちらにやってきた。
「ふーん」
先輩は興味なさそうに相槌を打った。本当になんだか不思議な間を持つ人だ。
「Aは、部活は?」
「あ、わたしは、今はしていなくて」
「陸上部、なんでやめたの?」
「.....なんで知ってるんです??」
目を丸くする私に、
「んはは。綺麗に走るなーって、見てたから」
と、さらりと答えた。
なんだか照れてしまう。
「足を痛めちゃって。やめざるをえなくて」
「そーだったんか。それは残念だったな」
中村先輩の言葉は、とても真っ直ぐで嘘がないように聞こえる。この人は、良い人だ、きっと。
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ヨーコ(プロフ) - ドキドキ止まりません!最高です!更新楽しみにしています♪ (2020年4月4日 20時) (レス) id: b9e84898e5 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます〜!楽しみにしていただけて嬉しいです。そろそろ終わりに向けて、と思ってますが、もう少しお付き合いくださいませ♪( ´▽`) (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ショウさん» いつもありがとうございます〜!寒いの苦手なのは倫也さんのリアルを意識してみました( ´ ▽ ` )もうしばらくお付き合いくださいませ! (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新とても嬉しいです!題名が2匹と書かれていたのでドキドキしながら読みました!そのさんの作品を見るのが今の私の楽しみです!少女漫画のようにきゅんきゅん毎回させてもらえて幸せな気持ちになります!これからも応援しています! (2020年2月6日 15時) (レス) id: 57aaad4ad9 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 感想遅くなりましたが、らいおんの告白とても胸に響きましたっ!2匹のやり取りの続きもとても楽しみに待ってます、おおかみが寒がりなところ保温ポット愛用されてるのでピッタリですね 笑 (2020年2月5日 15時) (レス) id: bd7e526c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:その | 作成日時:2019年12月10日 12時