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「なあ、まだ振られへんの？」
「...........」
「はよ振られろや」
「ねえ？振られる前提なのおかしくない？」
「中村なんちゃらの、どこがええねん。俺よりおもろい？」
「おもろい基準で選んでいません」
「せやったら顔？俺よりかっこええとは思わへんけどなー、」
もー黙って、と。一言。
日々こんな感じで、もうあしらうのも慣れてきた。
「土曜、デートせえへん？」
「わたしには、彼氏が、います」
「知っていますが」
くつくつと笑っている。
今度は毒々しい色の細長いゼリーを吸いながら。
「せやけど、どうせ中村なんちゃらは部活やろ？予定空いてるんやったらええやん？」
「...........、会う、予定なの」
「あらま。ほーなん。どこ行くん？」
「家」
せわしなく動いていた口が止まった。
シンとして、なんだか空気が変わったのがわかる。
「処女捨てんの？」
「...........、しょ、しょじょ、とか、なななんでっ」
「マジかほんまに処女か」
はあーー、とため息を吐いて項垂れて頭をわしゃわしゃと掻いた。柔らかそうな髪。触ってみたいな。けど、それはきっとダメだと思うから、なんとなく。
「A」
気づくと、待ち人が私の前に立っている。全然気付いてなくて焦った。
「行こ」
私ではなく、見つめ合うのは隣の金髪の彼と、だ。不穏な空気。
「と、倫也先輩、帰りましょう」
鞄を持って立ち上がると、ぐっと引っ張られる腕。
「ちょ、離して、」
強く握られていたのに、振り払うと思いの外簡単に外れた。
「お前、なんなの？」
「転校生の菅田です、中村先輩」
「そうじゃなくって。Aにちょっかいかけてるでしょ」
「はははっ。オトモダチなので。な？Aちゃん？」
Aちゃんなんて呼んだこともないくせに、饒舌にそんなことを言うから呆れる。
「あの、先輩、もう行きましょう」
背中を押す。納得いかなそうにしながらも、わかったよと私の手をとった。繋がれる左手。横目で彼を見やると、ぱく、ぱく、と口が動いた。
あ ほ
ひらひらと手を振る彼に、手を振り返すことはできない。
私が好きなのは───
ケミカルなヨーグルトの香りが鼻に残って、なかなか消えてくれなかった。
おわり
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ヨーコ(プロフ) - ドキドキ止まりません！最高です！更新楽しみにしています♪ (2020年4月4日 20時) (
レス) id: b9e84898e5 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます〜！楽しみにしていただけて嬉しいです。そろそろ終わりに向けて、と思ってますが、もう少しお付き合いくださいませ♪( ´▽｀) (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ショウさん» いつもありがとうございます〜！寒いの苦手なのは倫也さんのリアルを意識してみました( ´ ▽ ` )もうしばらくお付き合いくださいませ！ (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新とても嬉しいです！題名が２匹と書かれていたのでドキドキしながら読みました！そのさんの作品を見るのが今の私の楽しみです！少女漫画のようにきゅんきゅん毎回させてもらえて幸せな気持ちになります！これからも応援しています！ (2020年2月6日 15時) (レス) id: 57aaad4ad9 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 感想遅くなりましたが、らいおんの告白とても胸に響きましたっ！2匹のやり取りの続きもとても楽しみに待ってます、おおかみが寒がりなところ保温ポット愛用されてるのでピッタリですね 笑 (2020年2月5日 15時) (レス) id: bd7e526c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：その | 作成日時：2019年12月10日 12時
