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「あ、ポニョ、」
差し出されたボールペンを握って、思わず呟く。
握ったペンは柄の部分が透明になっていて、その中で小さなポニョの人形がゆらゆらと泳いでいた。
まるで細長いスノードームがついているような造りが不思議でまじまじと見つめる。
かわいいな、と目を細めていると、『し、知ってるの?ポニョ、』と弾むのを抑えたような声が降ってきた。
「え?…うん、崖の上のポニョ…ジブリだよね?」
『そ、そう…!!ジブリのポニョ!!』
大きく頷いた彼女がその目を爛々と輝かせてこちらを見つめる。
急にテンションの上がった彼女に驚いて目を瞬かせていると、『……すき?ジブリ、』と伺うような視線で彼女が言った。
「う、うん。好きだよジブリ。…たぶん結構いろいろ観たことある方だと思う、」
『わ、ほんとに?!わたし、ジブリすごく好きで、!えと、…何が一番好き?』
「ハウル、!ハウルの動く城が一番好き、もう何回も観てる」
『わ、分かる!私も何度も観てる。かっこいいよね!ハウル』
さっきまでのお互い敬語の静かなやり取りが嘘だったみたいに盛り上がって、それに気づいた彼女が恥ずかしそうに笑う。
『…あ、ごめんね急に、…韓国来てからジブリの話こんなにできたことなくて、』
「…韓国来てから?」
『そう。あの、気づいてるかもだけど私日本人で。韓国には中学卒業してから来たの』
そう言う彼女の名札にチラリと目をやると、確かに韓国人には珍しい数のハングルが並んでいて。
「や、…韓国語上手だからわかんなかったよ」と俺が伝えると『ほんとに?ありがとう、』と彼女ははにかみ笑いを浮かべた。
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leo(プロフ) - ひすいさん» ありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しいです🥹💖 (2022年11月24日 15時) (レス) id: 0d8ec0ef12 (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 綺麗な文章でだいすきです。 (2022年11月23日 23時) (レス) @page11 id: e824ac6156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レオ | 作成日時:2022年9月25日 16時