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緋山side
遠くから見ていても感じるAの存在は
私たちにも温かさをくれて
微かに風にのって香るレモンの匂いに
本当にいるんだ、と
夢じゃない、会いに来てくれたんだと
心が震えた。
「何よ、私達には声だけなのに」
「え?」
「Aよ。ちゃっかり藍沢には姿見せてる」
「見えるの?」
「見えない。
でも、あいつには見えてる」
ほら。と指をさした先にはしっかりと
相手を捉えて話をする藍沢の姿で
なんで話してるのかはわからないけど
あんなに泣きそうな顔をする藍沢を見るのは
初めてだった。
暫く見ていたが、本当に、1人になった藍沢の元に
ゆっくりと近づいた。
「藍沢」
「…なんだ」
「A、来たね」
「?!」
「俺たちのとこにも来たぜ」
「そうよ。一瞬だけど笑笑」
「…お前ら…」
「ほら、一周忌。ここでコーヒーでも飲もうよ」
白石が空気を読まずにそんな事言うから
思わず笑ってしまって
「あんた何言ってんの?
Aの一周忌にはレモンウォーターでしょ笑笑」
「あ、そっか」
「私、レモンとミネラルウォーター持ってきます」
「あ、俺いくよ」
どんどんと進む話に少し落ち着いたのか
藍沢が顔を上げた。
「話、出来た?」
「…あぁ」
「突然いなくなったもんね。あの子」
「…あぁ」
「なのにまた突然現れるなんて」
「…あぁ」
「あの、」
もはや「あぁ」しか言わない男をどうしたものかと
考えていると、冴島が藍沢に向かって真剣な
顔をして見ていて
ドリンクを持って来た藤川と目を合わせると
2人して藍沢を見た
「何?どうしたの?」
「…なんだ」
「あの、」
「藍沢、あのさ」
「…」
「私、妊娠したんです」
「?!」
「え!おめでとう!!」
当然の妊娠報告に驚きつつも祝いの言葉を伝えると
冴島は続けた。
「藍沢先生に、許して欲しくて」
何をやらかしたのか知らないが、
藍沢はA一筋。
許す事なんてないのに。
そう思いながらも白石と目を合わせて
静かに見守った
.
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いるか - えっ!!!これからどうなるの!!??すっごく気になります!!あと、感動して涙が止まりません。更新楽しみに待ってます! (2020年12月10日 0時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 作品を書く際にここをこうしたらいいというヒントとかありますか?? (2020年12月6日 10時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - どっちだァァ!藍沢先生?!それとも2歳の子の方?!となってます。更新楽しみにしてます! (2020年11月30日 8時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
いるか - 主人公が亡くなってしまい話が終わってしまったと思っていたら続きの話が更新されてとっても嬉しかったです!続き楽しみにしてます!! (2020年11月30日 1時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - それにゆずさんの話私はもう虜ですよ。今作品独自の魅力があります。それに私も書いてる側なので何となく分かりますが掛け持ちやら終わってすぐ他のを書き始めるなど、精神的にもなかなか大変なのですよ。なのでコメ欄にもう書いたんですから、これ以上は…。 (2020年11月29日 8時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年9月25日 22時