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藍沢side
夢を見た。
幸せだった頃の、夢を。
_________「耕作?何してるの?」
「…なんでもない」
それは、2人で買い物に出かけた時の事。
Aの怪我が治って復帰したらトロントへ行く俺は
何か形のあるものを残したくて
ふとショーウィンドウに飾られた指輪に目が行く。
「ふーん、ね!今日はさ、
豪華にステーキ食べちゃう?!」
「あぁ」
「やった!」
「お前は本当に肉食だな」
「肉は正義!」
「…Aは花より団子か?」
「んー、両方笑笑
例えば記念日とかにプレゼント貰えて
肉まで食べれたら幸せすぎて死んじゃう」
「…そんなことで死なないだろ笑笑」
「あ、笑ったな?!」
他愛無い話にも楽しそうに話すAに
何故だか少し笑えてきて
こんな幸せがいつまでも続くように、
俺が、Aを守ろう
一生、そばにいよう
そう思ったんだ。_________
「…夢、か…」
目が覚めても思い出す
繋いだ手の温もりやAの笑顔に
胸がギュッと締め付けられる
_________記念日とかに…
ふと夢の中のAの言葉を思い出す
気づいた時には体が動いていた。
マーティン教授がいれてくれた休み。
日本に戻るには十分な期間で
簡単に荷物を詰めて急いで空港へ向かった。
翔北へ行く前に
夢で見たショーウィンドウの店へと向かい
あの時買おうとしていた指輪を買った。
肉は流石に買わなかったが、代わりに花束も。
久々に見る翔北は
一年前と変わってなくて
真っ直ぐにヘリポートへ向かう。
あの頃のままのようで
途端に胸が苦しくなる。
「A…」
ポツリと呟いたその名前に答えるように
ふわりと風が頬を撫でる。
_________耕作
それは彼女の好きだったレモンの香りと共に。
.
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いるか - えっ!!!これからどうなるの!!??すっごく気になります!!あと、感動して涙が止まりません。更新楽しみに待ってます! (2020年12月10日 0時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 作品を書く際にここをこうしたらいいというヒントとかありますか?? (2020年12月6日 10時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - どっちだァァ!藍沢先生?!それとも2歳の子の方?!となってます。更新楽しみにしてます! (2020年11月30日 8時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
いるか - 主人公が亡くなってしまい話が終わってしまったと思っていたら続きの話が更新されてとっても嬉しかったです!続き楽しみにしてます!! (2020年11月30日 1時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - それにゆずさんの話私はもう虜ですよ。今作品独自の魅力があります。それに私も書いてる側なので何となく分かりますが掛け持ちやら終わってすぐ他のを書き始めるなど、精神的にもなかなか大変なのですよ。なのでコメ欄にもう書いたんですから、これ以上は…。 (2020年11月29日 8時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年9月25日 22時