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冴島side
「ちょっと!もういくわよ?」
「あ、ごめんっ」
自販機に着くとベンチに座って俯く一男がいて
声をかけると慌てて目元を拭っていた。
もう、素直じゃないんだから…
そんな姿にも愛おしさを覚えながら声をかける。
「…ヘリポート、行こう?」
「…そうだな」
少しだけしんみりしてると
開け放った窓からふわっと風が入り込む
「あれ、」
「なんか、」
「なぁはるか。レモン、触ったか?」
「ううん。水はあげたけど」
レモンの木は葉にも枝にも触るとレモンの香りが
するから、手入れする時によくレモンの香りを
させていたはるかにそう尋ねたが違うらしく。
________ふふ、はるちゃん、藤川
2人で首を傾げていると
頭に直接届くような懐かしい声
「え?」
「はるかも、聞いた?」
_______泣かないの。
_______藤川は頼りないけど
_______いつも人の事ばかり元気づけようとして
_________周りを笑顔にしてくれるでしょ
「っ、、、それは、お前だろっ、、、」
確かに聞こえるこの声は
周りの人には聞こえてないみたいで
_________はるちゃん
_________ふふ、おめでとうっ
「A、、、!」
全て知ってるのね
あなたは、ずっと見てくれていたのね
私たちを、ずっと見守ってくれてたのね
溢れ出る涙を乱暴に拭いて
一男と目を合わせ頷き合う。
「藍沢先生は?」
「今日の事は知ってる。
ヘリポートに集合って送ったから」
「来るかしら」
「絶対!来てる!!」
2人で駆け出そうと踏み出した時
先程より強い風が吹いて立ち止まる。
「はるか?」
_________はるちゃん、走らなくても、大丈夫。
「…そうよね。うん。一男、歩こう」
「え?」
「Aが、大丈夫って」
「あ!あ、うん。、そうだな」
2人でゆっくり歩き出す。
ヘリポートへ。
彼の姿を思い描きながら。
.
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いるか - えっ!!!これからどうなるの!!??すっごく気になります!!あと、感動して涙が止まりません。更新楽しみに待ってます! (2020年12月10日 0時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 作品を書く際にここをこうしたらいいというヒントとかありますか?? (2020年12月6日 10時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - どっちだァァ!藍沢先生?!それとも2歳の子の方?!となってます。更新楽しみにしてます! (2020年11月30日 8時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
いるか - 主人公が亡くなってしまい話が終わってしまったと思っていたら続きの話が更新されてとっても嬉しかったです!続き楽しみにしてます!! (2020年11月30日 1時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - それにゆずさんの話私はもう虜ですよ。今作品独自の魅力があります。それに私も書いてる側なので何となく分かりますが掛け持ちやら終わってすぐ他のを書き始めるなど、精神的にもなかなか大変なのですよ。なのでコメ欄にもう書いたんですから、これ以上は…。 (2020年11月29日 8時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年9月25日 22時