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藍沢side







「Aは…地下1階にいる…」

「っ?!、地下、、、?」







嫌に静かな医局に響く白石の透明感のある声が
酷く心に突き刺さる。





地下にあるのは病院の使用済みリネンや
主に清掃関係のもの、





そして






霊安室。









地下にいると言われた瞬間に
目の前が真っ暗になった。








「ごめん。私…」

「白石」

「え?」







先程置いたばかりのレモンを手に取り
出口に向かう。








「すまなかった…」

「、藍沢先生…っ」








辛かっただろう
同僚の、
友達の、
死際に立ち合って。





オペに時間がかかって行けなくて。





待ってくれたんだろう
俺が来ると信じて。








その一言に、全ての思いを込めた。









泣き声を背中で受け止めながらも
足はゆっくりと地下へと向かっていて





彼女の元へたどり着いて顔を見ると
今にも起きそうな程安らかな顔をしていた。








「A、、、起きろ…、
寝すぎだ、、、
ほら、起きっ、、、」








ポタ、、、ポタ、、、






Aの顔に雨のように落ちる滴が
自分が泣いている事を嫌でも知らせてくる

泣いたら認めてしまいそうで
認めたら現実になりそうで嫌なのに。

現実は現実なのに。







「A、、、





痛かっただろ





辛かったよな」





頬に触れても今朝までの温もりはなくて。





「お前はいつも自分の事は後回しで…






人の命ばかり優先させて」







死後硬直が始まっていて僅かに硬い。
あの柔らかい頬の感触が思い出せない。






「やっと、





やっと回復してきたのに」






俺が触れようとすると頬を染めて、
もう耕作っ!、そう、笑ってほしいのに







「あの子を、、、







助けたんだ…







最期まで、Aらしいな、っ」









とめどなく溢れる涙はそのままに
まるで眠っているその姿をずっと、
ずっと、見つめていた。








.

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設定タグ:藍沢耕作 , 山下智久 , コードブルー   
作品ジャンル:恋愛
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いるか - えっ!!!これからどうなるの!!??すっごく気になります!!あと、感動して涙が止まりません。更新楽しみに待ってます! (2020年12月10日 0時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 作品を書く際にここをこうしたらいいというヒントとかありますか?? (2020年12月6日 10時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - どっちだァァ!藍沢先生?!それとも2歳の子の方?!となってます。更新楽しみにしてます! (2020年11月30日 8時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
いるか - 主人公が亡くなってしまい話が終わってしまったと思っていたら続きの話が更新されてとっても嬉しかったです!続き楽しみにしてます!! (2020年11月30日 1時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - それにゆずさんの話私はもう虜ですよ。今作品独自の魅力があります。それに私も書いてる側なので何となく分かりますが掛け持ちやら終わってすぐ他のを書き始めるなど、精神的にもなかなか大変なのですよ。なのでコメ欄にもう書いたんですから、これ以上は…。 (2020年11月29日 8時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2020年9月25日 22時

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