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藍沢side
女の子を初寮室に搬送すると
幾分か動きがまともになってきた名取と横峯が
ラインを取り始めた。
「ラインをとったら全身チェックだ。
CTの依頼をしとけ」
「わかりました」
灰谷がCT室に連絡を入れる間に
くまなくチェックをする。
内臓破裂も見られないが、この位の小さな子どもなら
頭部打撲による脳の損傷が見られるかもしれない。
「ラインとったら横峯は30代女性の治療に入れ」
「はい!」
次に来る30代女性の準備を冴島とともに横峯に
任せてCT室へと移動しようとした時
ストレッチャーを押す白石と緋山は
酷く辛そうな顔をしていて
今更患者に感情移入するものかと
30代女性を横目で見た。
「?!、A…?!」
時が止まったように動かない
真っ赤に染まったAに
上手く呼吸が出来なかった。
_________名取side
「A先生…、」
ストレッチャーで運ばれてきたのは
今日この場に現れるはずの人だった。
「、行くぞ、名取。」
「?!、A先生は、」
「白石達がみてる。俺達はこの女の子だ」
「…、はい」
まるで自分に言い聞かせるように
移動する藍沢先生の手元は
誰がみてもわかるくらい震えていた。
「どうだ?」
「これは、、、まずいな。硬膜下血腫だ。
すぐにオペの準備をするぞ」
「はい」
CTを撮ると藍沢先生は難しい顔をしていて
藤川先生も来ると
オペ室にそのまま移った。
「隣のオペ室では紫堂のオペが
始まったみたいだぞ」
「…」
「藍沢先生、」
「…なんだ」
「…行かなくて、いいんですか?」
静かに淡々と準備をする藍沢先生は
一瞬目を瞑り一つ息を吸い込んだ。
「脳は俺の専門だ」
真っ直ぐに患者を見て呟いた一言は
冷たいオペ室の空間に嫌なほど響いた。
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いるか - えっ!!!これからどうなるの!!??すっごく気になります!!あと、感動して涙が止まりません。更新楽しみに待ってます! (2020年12月10日 0時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 作品を書く際にここをこうしたらいいというヒントとかありますか?? (2020年12月6日 10時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - どっちだァァ!藍沢先生?!それとも2歳の子の方?!となってます。更新楽しみにしてます! (2020年11月30日 8時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
いるか - 主人公が亡くなってしまい話が終わってしまったと思っていたら続きの話が更新されてとっても嬉しかったです!続き楽しみにしてます!! (2020年11月30日 1時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - それにゆずさんの話私はもう虜ですよ。今作品独自の魅力があります。それに私も書いてる側なので何となく分かりますが掛け持ちやら終わってすぐ他のを書き始めるなど、精神的にもなかなか大変なのですよ。なのでコメ欄にもう書いたんですから、これ以上は…。 (2020年11月29日 8時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年9月25日 22時