第漆話 兄ちゃんが ページ9
(軽い嘔吐表現あります、ご注意ください)
『……………………』
家の中は、ひどい状態だった。
そこにあった"幸せ"は、最初からそこにいなかったようだった。
『………ぃんな……』
だが、みんなの死体を見ても、なんの感情も出てこなかった。
むしろ、口の中には涎が溜まった。
……涎?
『っ…!!?』
なんで。なんでだ。
どうして、腹が鳴る?
今、みんなを美味しそうだと思ったのか?
家族だぞ?大切な大切な、俺の……
『っ、ぅ、え…おぇ……!!』
___腹が減った…
___みんなの血肉、
___…美味しそうだ。
そんなことを考えた自分に嫌気がさした瞬間、その場で戻してしまった。
胃の中はなにも入っていなかったようで、口の中には酸っぱい味が広がった。
口を押さえる。涙がこぼれる。
どうして、どうしてこんなことになったんだ。
なんで。俺は、俺は……
______だから安心して、母さん
______俺が、みんなを守るから
『っ、あ、ぁああ…!!』
母さんの微笑み
竹雄の照れた顔
茂のやんちゃさ
花子のわがまま
六太の眠る顔
禰豆子の優しさ
炭治郎の優しさ
全部全部、俺が守るって約束したのに。
なにも守れていないじゃないか。
『っ、ね、ずこ…』
六太が外で、1人で倒れている。
禰豆子が絶対、近くにいたはずだ。
そして、炭治郎の深沓の足跡と、匂い。
待っていてくれ、2人とも。
『に、ちゃんが…まぉって、やる、かぁな…』
朦朧とする意識の中で、
炭治郎の微かな足跡をたどって、俺は裸足で歩き出した。
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しろりん(プロフ) - 鬼滅の刃の原作沿いの中で一番この作品がお気に入りです...。兄主さん...素敵なお兄さんですね...。更新頑張ってくださいね!...早く善逸や伊之助にも会ってほしいな...。 (2022年5月7日 10時) (レス) id: 5f15beaff6 (このIDを非表示/違反報告)
猫を愛している者 - 続きは書かないんですか? (2020年8月15日 22時) (レス) id: f0ad13efd7 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - そうだったんですね!良かったです…!! (2020年2月22日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
仍(プロフ) - ヤトさん» ありがとうございます!返信遅れてしまって申し訳ありません… (2020年2月16日 14時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)
仍(プロフ) - 南無南無さん» 終わってないんです!すみません!!漫画が手元に無いとお話が書けなくて、なかなか更新出来ずにいます…本当に申し訳ないです…更新お待ち下さい!! (2020年2月16日 14時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仍 | 作成日時:2019年9月16日 14時