第壱話 いい弟 ページ3
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「炭治郎」
寒い外で、母さんが炭治郎を呼び止めた。
真っ黒になった炭治郎の顔を手ぬぐいで拭き、危ないから行かなくてもいいと言う母さん。
「正月になったらみんなに腹いっぱい食べさせてやりたいし 少しでも炭を売ってくるよ」
炭治郎は、いつも家族みんなのことを考えてくれている。
とっても優しい、俺の弟。
炭治郎は自分が家族を支えなきゃいけないと思っているみたいだけど、それは長男である俺の務めだ。
『炭治郎、無理しなくたっていいんだぞ。少しは休んだ方がいい』
「兄ちゃん。
俺は大丈夫だよ。麓の人たちは優しいし、無理なんかしてないから」
少しだけ胸を張って自慢げに言った炭治郎に、俺は何も言えなくなってしまった。
こうも炭売りに誇りを持っているとは…
『うちはこれからも安泰だな…』
「え?」
「兄ちゃん今日も町に行くの!?」
「私も行く!」
頭をかきながらため息混じりに呟くと、茂と花子が駄々をこね始めた。竹雄も不満げな声を漏らす。
父さんがいなくなってしまったから、きっとみんな寂しいのだ。
だからこそ、俺にくっついて回ってもいいんだぞ。
俺の方が年上だし、長男だし。
炭治郎に変な対抗心を燃やすが、長男力(勝手に名付けた)が高いのは炭治郎らしく、俺のところには、炭治郎がいないときにしかくっついてこない。寂しいものである。
「竹雄。できる範囲で構わないから少し木を切っといてくれ」
「そりゃあやるけどさぁ。
一緒にやると思ってたのにさぁ」
『じゃあ竹雄、俺と一緒にやろう。夕飯の支度するまでは俺もできるから。な?いいだろ〜?』
草履を履いて外に出て、斧を持った竹雄に笑いかけると、竹雄は「うぅっ」とたじろいだ。
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しろりん(プロフ) - 鬼滅の刃の原作沿いの中で一番この作品がお気に入りです...。兄主さん...素敵なお兄さんですね...。更新頑張ってくださいね!...早く善逸や伊之助にも会ってほしいな...。 (2022年5月7日 10時) (レス) id: 5f15beaff6 (このIDを非表示/違反報告)
猫を愛している者 - 続きは書かないんですか? (2020年8月15日 22時) (レス) id: f0ad13efd7 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - そうだったんですね!良かったです…!! (2020年2月22日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
仍(プロフ) - ヤトさん» ありがとうございます!返信遅れてしまって申し訳ありません… (2020年2月16日 14時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)
仍(プロフ) - 南無南無さん» 終わってないんです!すみません!!漫画が手元に無いとお話が書けなくて、なかなか更新出来ずにいます…本当に申し訳ないです…更新お待ち下さい!! (2020年2月16日 14時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仍 | 作成日時:2019年9月16日 14時