検索窓
今日:3 hit、昨日:66 hit、合計:597,738 hit

第拾捌話 違和感 ページ20

(炭治郎side)





_____置き去りにしてごめんね、炭治郎






_____禰豆子と優之心を頼むわね






「っ!!」


誰かがどこかに行ってしまうような気がして、ばちっと目を開き、目の前のものを掴んだ。

息が苦しくて、涙が流れていた。


掴んだものは禰豆子の羽織だった。
当の本人は、竹の口枷をして目を閉じていた。



「起きたか」



息を整えていると、木の陰から先程の男の人が姿を現した。

驚いたのと、また斬られるのではないかという思いで、眠っている禰豆子を抱き寄せた。



「狭霧山の麓に住んでいる 鱗滝左近次 という老人を訪ねろ。冨岡義勇に言われて来たと言え。

それから……」




狭霧山?




鱗滝左近次?




冨岡…義勇?それがこの人の名前なのか?





言われたことが理解できなくて、冨岡さん?の顔をただただ見つめていると、その背後から出てきた人物に衝撃を受けた。



「にっ…兄ちゃん!!?」


『………………』



心配そうな顔で出てきたのは、紛れもなく兄ちゃんだった。
俺と目が合うと、ほっとしたような顔になった。

禰豆子をゆっくり横たわらせて、兄ちゃんに駆け寄る。手を握ると、兄ちゃんはビクッとした。



「兄ちゃん、生きて……よかっ…ごめ……

え、えっと、」




言いたいことが多すぎて纏まらず言葉に詰まっていると、違和感に気がついた。



「(あ、れ……?匂い、が…)」




禰豆子が咆哮のような声をあげた時の匂いに似ている。
優しい匂いはあるんだけど、でも…

そこで、もう2つの違いに気づく。




落ち着きを宿した深い黒色の瞳が、血のような赤色になっている。

何回も何回も頭を撫でてくれた手の爪が、長く鋭くなっている。




頭をよぎる、嫌な予感。
幸せが壊れる匂いがする。



「まさか…兄ちゃん…


鬼に、なったの……?」



『………、……』




兄ちゃんは、寂しそうに笑った。



.

第拾玖話 泣くな→←第拾漆話 かあさんのごはん



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (699 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1502人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

しろりん(プロフ) - 鬼滅の刃の原作沿いの中で一番この作品がお気に入りです...。兄主さん...素敵なお兄さんですね...。更新頑張ってくださいね!...早く善逸や伊之助にも会ってほしいな...。 (2022年5月7日 10時) (レス) id: 5f15beaff6 (このIDを非表示/違反報告)
猫を愛している者 - 続きは書かないんですか? (2020年8月15日 22時) (レス) id: f0ad13efd7 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - そうだったんですね!良かったです…!! (2020年2月22日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ヤトさん» ありがとうございます!返信遅れてしまって申し訳ありません… (2020年2月16日 14時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 南無南無さん» 終わってないんです!すみません!!漫画が手元に無いとお話が書けなくて、なかなか更新出来ずにいます…本当に申し訳ないです…更新お待ち下さい!! (2020年2月16日 14時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2019年9月16日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。