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第拾話 悪鬼滅殺 ページ12

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斬りかかってきた男は、深い水色の『悪鬼滅殺』と彫られている刀を持っていた。

その刀の色と同じ色をした目は、こちらを冷たく見下ろしている。


「…なぜ庇う」


低い声で短く言い放たれた。


「妹だ!俺の、妹なんだ!」


禰豆子を抱き寄せて答える。
男は、眉をひそめた。

禰豆子が俺の腕の中でもがく。


「ガアアッ!ガアァッ、グァウ」



もう人間ではない。

禰豆子はもう、人間ではないのだと。
そう思える声と、力だった。


それ(・・)が妹か?」

「っ……」


咄嗟に返せなかった。

妹、妹だけど…でも……


言葉に詰まっていると、男はまた斬りかかってきた。
禰豆子を守ろうとして、覆い被さる。


が、禰豆子は腕の中にはいなかった。



「ガアアッ!!」

「禰豆子!!」



禰豆子は男に腕を掴まれていた。

駆け寄ろうとするが、「動くな」と言われ、体が動けなくなる。
もし動いたら、禰豆子が斬られてしまうかもしれない…!


「俺の仕事は鬼を斬ることだ。
勿論、お前の妹の首も刎ねる」

「待ってくれ!禰豆子は誰も殺してない!!」


考えたくもない恐ろしいことを言われ、男に向かって必死に叫ぶ。
殺さないで、殺さないでくれ。


「俺の家にはもう一つ、嗅いだことのない誰かの匂いがした!みんなを殺し…たのは多分そいつだ!
禰豆子は違うんだ!どうして今そうなったのか(・・・・・・・)わからないけど!でも」

「簡単な話だ。傷口に鬼の血を浴びたから鬼になった」


どんなに叫んでも、届かない気がする。
でも、叫ぶしかない。禰豆子を斬らせないために。

俺しか、守る人がいないんだ。




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しろりん(プロフ) - 鬼滅の刃の原作沿いの中で一番この作品がお気に入りです...。兄主さん...素敵なお兄さんですね...。更新頑張ってくださいね!...早く善逸や伊之助にも会ってほしいな...。 (2022年5月7日 10時) (レス) id: 5f15beaff6 (このIDを非表示/違反報告)
猫を愛している者 - 続きは書かないんですか? (2020年8月15日 22時) (レス) id: f0ad13efd7 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - そうだったんですね!良かったです…!! (2020年2月22日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ヤトさん» ありがとうございます!返信遅れてしまって申し訳ありません… (2020年2月16日 14時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 南無南無さん» 終わってないんです!すみません!!漫画が手元に無いとお話が書けなくて、なかなか更新出来ずにいます…本当に申し訳ないです…更新お待ち下さい!! (2020年2月16日 14時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月16日 14時

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