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第48話 ページ50

……珍しいな。


インクがそんなこと言うなんて。


いつもは新たなAUに興味を持つのに。


「だから、何処かで分岐点を作らなきゃいけない。
彼女がここに居ることの一つが彼の誕生を意味する。

エラー、僕は絶対、彼女を死なせたくない。
君が彼女を引き渡してくれない時は
僕が無理矢理にでも彼女を攫う。」


そう言い残してインクは消えた。


元の場所に帰っていったのだろう。


布団に寝かせられたあいつの様子を見る。


怪我の手当てが済んだあとだからなのか


顔色は先程より良くなっていた。


俺は手を伸ばしていた。


あいつの手まであと十センチというところで


手が止まった。震えている。


触ろうと思うだけで怖くて堪らない。


「…………さん、ず……。」


言葉を紡ぐと共に涙を零す。寝言だろうか?


……お前の言うサンズはただ一人を指すんだろうな。


そう思うと胸がズキッと痛んだ。


ーーーああ、そうか俺。


「バカみたいだ……。」


けど、気付いてしまったらこの想いは止まらない。


胸がズキズキ痛んで仕方がない。


「趣味悪すぎだろ、俺……。」





夢を見ていた。


数歩先を歩いているパピルスとサンズ。


二人の名を呼んで駆け寄るけれど


彼らにこの声は届かず


いくら追いかけても距離は離れていく。


「待って!!」


いつの間にか二人の姿を見失った。


キョロキョロと辺りを見渡すと、今度は


フリスクとアズリエル、キャラの姿を見つける。


彼らの元へ走っていく。


「おねがい、まって……置いていかないで!
ひとりに、しないでーーー……。」


もう、ひとりぼっちは嫌だ。


本当は、本当はーーーー。


「君たちのそばに居たいだけなの。」


ハッと目を覚ます。


心配そうにこちらを覗き込むのは


フリスクとパピルスの姿だった。


「兄ちゃん、大丈夫?」


「急に倒れたからビックリしたんだよ?」


二人の顔を見て何故か涙が溢れた。


なんで、オイラこんな気持ちになってるんだ?


変な夢を見たせいか?


誰かの感情が流れ込んできたそんな、感覚ーーー。


「ニェ!大変だ!兄ちゃんの体力が!
特製パスタを作ってくる!」


「それよりさっきママが焼いたパイがあるから
それを一切れ貰ってきてくれない?」


「わかった!俺様に任せろ!」


……ひとまず、オイラは生きてるわけだな。


一体何が起こったんだ?


オイラは誰かと戦った記憶なんてないんだが。

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作者名:あゆさ | 作成日時:2020年12月2日 20時

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