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第29話 ページ30

「そんなの決まってる。
お前が憎いと思った奴らを

殺すことこそ、お前のメリットだ。
EXPが手に入ればお前は本当の意味で
生きることが出来る。」


「絶対やりたくないね。」


「……ふっ……なら、無理矢理やるだけだ。
お前を連れ去ってな!!!」


彼の触手がこちらへ伸びる。走り出そうとした瞬間、


青い糸で腕や足をグルグル巻きにされ


後ろの方へ引っ張られる。


気が付くと真っ暗な世界から


元の世界、真っ白な世界に戻ってきた。


引っ張られた勢いで尻もちをついて腰などを痛める。


手で押えていると人影が私の体を覆い隠す。


視線を上にあげると


エラーが無言でこちらを見ている。


「…………えっと。」


「今日はもう部屋にいろ。」


彼はある方向を指差す。そこには本当に素朴だけれど


布団が用意されていた。


周りは青い糸で張り巡らされている。


天文台の天井のように丸い。


おそらく警報装置的なものだろうか?


私を逃がさないためか


他の誰かに奪われないようにする為か。


どちらにせよ、ナイトメアに狙われるなら


あそこにいた方が安全そうだ。


お礼を言おうとしたが、部屋に視線を移している間に


何処かへ行ってしまったようだ。


「……いまは気まずいしね。」


だけど、助けてくれたお礼ちゃんと言わないと。


今日は無理だとしても


明日は顔を合わせて話してくれるかな?





目を開けるとインクがこちらの顔を覗いていた。


私は驚いて起き上がる。その際に、少し目眩がした。


勢いよく起き上がるんじゃなかった。


っていうか寝顔見られてた!?恥ずかしい!


そもそも寝起きも結構恥ずかしいんだけど!


「おはよう、A。昨日はちゃんと
挨拶できなかったから、また来ちゃった。」


また来ちゃった、とか言ってるあたり


エラーには会ってないんだろうな。


「昨日エラーってば君のこと追いかけて行ってさ。
僕の事、放ったらかしにしたんだよ。
余っ程、君が大切なんだね。」


何やら勘違いしてないか彼。


彼が私を助けたのはソウルが欲しいからだ。


それ以外に理由なんてないだろう。


あっ、そもそも囚われの身だと気付いてない?


まあここから出ても行くとこないし


言わなくても困りはしないんだけどね。


「あ!そうそう!見て!昨日君のこと描いたんだ!
似てるでしょ!?」


スケッチブックのページを開き、こちらに見せる。


描かれているのは綺麗な女性の絵だった

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作者名:あゆさ | 作成日時:2020年12月2日 20時

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