第25話 ページ25
「……。」
「？ 何か不満？」
「別に。俺は寝る。起こすなよ。」
私は頷いて彼の背を見送る。
彼は一度こちらを振り返って青い糸を解いた。
私はびっくりして、いいの？と思わず聞き返す。
「意識だけで動けるのは限度があるだろう。
だからいいんだ。逃げたら契約を破ったってことで
あの世界ぶっ壊せるし。」
「……逃げないよ。」
そう返したものの、彼から返答はなく
そのまま行ってしまった。
"約束は破るためにある"。
彼の中ではそういう定義なんだろうな。
思わずため息を零して真っ白な世界に横たわる。
「……ずっと閉じ込められていた、か。」
現状が一緒だとしても
私と彼じゃ全く環境が違い過ぎる。
理解しようにも理解できない。
私が何かを言ったところで
彼が救われるわけじゃない。
……例え違うサンズだとしても
私にとってはみんな……。
唇を結んで考えるのをやめた。
同情が何よりもの彼らにとって
不快な感情だと思ったから。
「……サンズ。」
＊
……どうやらいつの間にか寝てしまっていたらしい。
色んなことが一気に起こって
頭がこんがらがっていたからなのか。
それにしてもここは時間感覚がわからないな。
改めてこの世界を見渡す。
上に青い糸で沢山のソウルが保管されている。
いや、正確には捕らわれている。
ここにあるもの全てフリスクや
キャラのものなのだろうか？
「……やっぱり私より趣味悪いじゃないか。」
ここら辺、うろちょろしてたら怒られるかな？
でもずっとここにいるのは退屈だ。
散歩ぐらいいいだろう。立ち上がって歩き始める。
どこまでも果てはなく、ただ真っ白な世界と
上に釣り上げられたソウルだけの世界。
ここにいるのは私とエラー。
そして招かれざる客のみだろう。
「(インクあたりとは遭遇したくないんだよなぁ。)」
インクは……良い奴っちゃ良い奴だけど。
何をしでかすか、わからないというか
人間以上に苦手意識が強い。
そして何より"外の世界"に
興味を抱いてるみたいだった。
それが何よりも恐ろしい。
でも、キャラクター的には好きなんだよなぁ。
「わぁ！！！！！」
後ろから突然大声を出されて
驚いた私は思わず悲鳴をあげた。
後ろを振り返ると
インクが不思議そうにこちらを見ていた。
え？いつの間に来てたの！？神出鬼没かよ！！！
「あれ？エラーじゃない？」
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作者名：あゆさ | 作成日時：2020年12月2日 20時
