第20話 ページ20
*???
フリスクが珍しく一人で部屋に訪れる。
聞きたいことがあるらしい。
黒い欠片、私のソウルが散らばって
集めていた時に聞こえた記憶の声。
私の唯一の友達の声についてだ。
「彼は君の友達なんだよね?」
そうだね、もしかしたら唯一私のことを一番
理解してくれていた人かもしれない。
幼い頃、別の友達に約束を破られた。
中学に上がる頃、親友だと
思っていた人に裏切られた。
相手はそんなつもり無かったのかもしれないけど
私にはとても息苦しかったから、そう感じたんだ。
そんな中でも私を気にかけてくれる男の子がいた。
趣味も共通していて一緒にいて苦はなかった。
「なら、どうして信じることが
出来ないって言ったの?」
「どうして、か。」
きっと心の底から信じることが怖かったんだ。
また裏切られるかもって。
だから私は彼を試したんだと思う。最低な話だ。
安心したいがために私は彼を傷つけたのだから。
「彼はどんな反応をしたの?」
「うーん、怖くて顔は見なかったけど。
"大丈夫、待ってる"って。」
言葉の意味がわからなかった。
何が大丈夫なんだろう?何を待つんだろう?
私が心の底から彼を信じることを?
「その人、Aのこと好きだったんじゃない?」
「え?いや、ないない。」
だってオタ話しかしてない。
一方的に喋ってしまうこともあったし
好かれるような行動をとった覚えがない。
「そうかな?」
「ないよ。」
すると、窓の方から声が聞こえた。
キャラたちが呼んでいる。今行くと、
窓から声をかけて下へ降りる為、ドアに向かう。
その後ろをフリスクはついてきて最後の質問をした。
「故郷に帰りたい?」
思わぬ質問に私は黙ってしまう。
家族が嫌いなわけじゃない。
彼のことが気がかりなのも確かだ。
けど、私はもう戻れない。戻る方法を知らないから。
帰りたい願望があるかと言われたら別にない。
帰りたくないのかと言われたらそれも違うけど。
どちらかと言えばここの方が居心地がいい。
たまに息苦しくなるけど
心から信じたいと思える友達が
失いたくない大好きな人達がこちらには多すぎる。
私は挫けても前へ進める。
彼にお礼を言えないのは残念だけど
私はここにいたい。
「そっか。答えてくれてありがとう。
僕もAとずっと一緒にいたいよ。」
「うん、ありがとう。フリスク。」
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作者名:あゆさ | 作成日時:2020年12月2日 20時