第百五十話 ページ50
私は再び正座をする
彼も私に合わせて正対するように座る
どうやら私と話をしに来たようだ
今までは敵対していたため
あまりこうやってゆっくりと
会話する機会はなかった
「なに、簡単なことだ、蟠りを取り除きに来た」
……彼とは何度か会ったものの
顔を合わせる度、お互い
彼/彼女とは気が合わないと思っていただろう
だからといって私は避ける気はなかった
彼は違ったみたいだけど
「俺はサーヴァントが嫌いだ
理由は単純で親父を殺されたから」
ーーーーーー
ああ、だから彼は毛嫌っていたのか
大切な人を奪われた
わかるとも、それはすごく悲しい
人によって感じ方は違うから
共感の言葉は口にはするまい
彼は続けてこう語る
たまたま通りかかった部屋で
父親がサーヴァントに殺された姿を見たそうだ
それからサーヴァントを嫌うようになった
「つまんねぇ理由だろ？」
私は首を横に振った
つまらない理由なんてない
それほど彼にとって衝撃的だったのだ
「セイバーは何も悪くない
けどな……駄目なんだ
サーヴァントとして存在するだけで」
"憎くて堪らない"
憎い
私達は他人に憎しみは持たない
けれど、私達自信に憎しみを覚えてる
毎度毎夜、確かに聞こえるんだ
もっと生きたかった、会いたかった……と
それぞれの物語がある
同情するけれど彼女たちにこの声は届かない
私もいつしか、彼女たちのように
憎しみしか持つことが出来ないのだろうか？
と、自分の話はどうでもいい
彼はサーヴァントを嫌う理由を話した
もう一つ、私には気掛かりなことがある
『私のこと嫌い？』
彼は目を見開いてこちらを見る
大きく感情が揺らいだ
冷静な彼からしたら想像出来ない
「どうしてそんなことを聞く？」
そんなの決まっている
私がサーヴァントにも心があると言ったら
彼はすごく嫌そうな顔をしたこと
私が死にたがりのような
人間みたいだということ
これらの理由で
嫌いなのではないかと思っていたのだが
「……苦手なだけだ」
苦手……か
なら仕方ないか
慣れろというのも酷だし
「ただ……死にたがりな人間と言って悪かった」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆき - いや当然ですよ！…スィ−ン一！ (2019年5月10日 19時) (
レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
まな★★(プロフ) - ゆきさん» そういって頂き、感激です！ (2019年5月8日 6時) (レス) id: 7988c73045 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - スマナイ、カミサクヒンダ、スマナイ！ (2019年5月7日 17時) (レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
まな★★(プロフ) - ゆきさん» うーなんとも言えないです……ネタバレになっちゃうので、すまないw (2019年5月4日 18時) (レス) id: f47f4a70d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - エ、エリちゃんが… (2019年5月4日 8時) (レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まな★★ | 作成日時：2019年4月8日 12時
