第八十九話 ページ39
家に着いたが
玄関の前で立ち尽くす
ドアを開けようと思っても
手をかけてそこで止まってしまう
これを何度繰り返しただろうか
『…………』
ーーー逃げるな、私
目を閉じてゆっくりと深呼吸をする
"よし"と気合いを入れてドアを開ける
中に入ると部屋の中は真っ暗だった
『……どこかに出かけたのかな』
あ、そういえば朝食置きっぱなしだった
鞄をすぐ近くの椅子に置き
テーブルの方に行く
ーーーあれ？
『片付けてくれたんだ』
あんな酷い出て行き方をしたのに
台所の方を見ると私の分にラップがしてある
ーーーー謝らなきゃ
電気はついていなかったが
もしかしたら部屋にいるのかもしれない
「帰ってたのか」
後ろから声をかけられる
"アサシン"と呼ぼうと振り返ると
そこにいたのはハイドだった
どこか気まずさを出しているが
どうしたのだろう
というか今日はジキルが表に出てくる日で
「あ？俺様ちゃんが勝手に出てきただけだ」
え、なんでそんなこと
ハイドはナイフを持ってこちらに近づく
ーーーーえ？
心臓がいつもより脈を打つ
【危険だ】
そんなわけない、だって
【逃げろ】
逃げるなんて、そんな
【殺される】
ーーー違う！！
ナイフを持ってじりじりと近づく
それに合わせて私も後ろに下がる
だけどここは台所、行き止まりなんだ
逃げ出せない、逃げれない
フラッシュバックのように思い出す
『お願い……来ないで』
壁に背中がぶつかる
いや、いや、いやっ！！
「やっぱりお前も同じなんだな
俺をそんな目で見る。よかったな
お前はちゃん恐怖を覚えてる人間だ」
ーーーー恐怖？
その場で膝元から崩れ落ちる
私は、ハイドのこと怖いって思ってるの？
"ハッ……呆れてたんだよ。俺様ちゃんに
会えて嬉しいなんて言う馬鹿はお前だけだ"
"人様のマスターを、勝手に
触んじゃねぇよ"
"よし、俺様ちゃんは決めたぞ
お前に本気で"生きたい！"って言わせてやる！
そして、殺して！絶望に落としてやるよ！"
"……いつ襲ってくるかわかんねぇんだぞ
そんな意地張ってるといつか死ぬぞ
俺様ちゃんが殺すんだから勝手に死ぬんじゃねぇ"
私の首に彼の手が伸びる
そのまま持ち上げられて壁に押し付けられた
彼は狂ったかのように笑うと
「見ろ！ジキル！お前は何一つ！
守ることなんて出来ねぇ！！」
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まな★★(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます！そのように思って頂けて嬉しいです！ (2019年4月4日 12時) (
レス) id: 5821fa07da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 橋さんの心の在り方に感動しました。私もこのように在りたいです。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まな★★ | 作成日時：2019年2月21日 10時
