第八十六話 ページ36
ジキルは"あっ……"と言葉を失う
…………食欲なくなったな
時間は七時半過ぎ、そろそろ学校行かなきゃ
片付けるのも面倒くさくて
そのまま鞄を持って飛び出した
「……なんで、解ってくれないんだ
"…………"
＊
思わず勢いで飛び出したが
すごく最低なことをしたと思う
だってジキルから逃げたんだ
『最低だ……私』
思わず涙が溢れてくる
ーーーえ？どうして……？
それは普通の人からしたら当たり前のことだけど
私は今までずっと我慢してきたから
こんなことで泣いたりなんか
【こわい】
何が、怖い？
止まって 止まって 止まって 止まって
嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ
強くいなきゃ 強くいなきゃ 強くいなきゃ
ーーー突然肩に手を置かれる
びっくりした私はそのまま振り返る
「ーーえ？」
柴崎くんが戸惑ったように声を出す
ーーーああ、どうしよう
なにか、言い訳を……
私が何も言わずにいると
彼は私の手をとり人気のない場所に行く
そこは学校の通り道とは違い、道外れにある
ちょっとだけボロい神社に続く階段だった
「大丈夫だ、落ち着け……ここなら誰もいない」
彼の言葉で少しだけ安心する
私はゆっくりと深呼吸をし
なんとか気分を落ち着かせる
涙も段々止まってきた
「大丈夫か？」
『……うん、ありがとう』
そういって笑ってみせた
これ以上彼に心配をかける訳にはいかない
「何かあったのか？」
『……ちょっとした喧嘩
可笑しいよね。なんかわかんないけど
怖くなって涙が出てきて……』
落ち着いたおかげか
さっきのことを話しても涙を流さなくて済んだ
ただジキルの顔を思い出すと
胸がギューっとなり苦しくなる
「可笑しくはない。貴方はきっと
嫌われてしまったと思って
泣いてしまったのでは？」
ーーーー嫌われる？
……そんなこと考えたこともなかった
だって今まで人と関係は作らなかったし
好きとか嫌いとか特別な人じゃなきゃ
ーーーー特別？ジキルは私にとって特別？
いやまあ、確かに彼はサーヴァントだし
ずっと一緒に居るし……
『うーん……そう、なのかな』
「……理由はどうあれ、もう大丈夫そうだな」
『あ、うん。ありがとう』
そろそろ学校に行こう、と
彼の言葉で一緒に登校する
そういえば帰りは一緒でも
朝から一緒ということはなかったな
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まな★★(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます！そのように思って頂けて嬉しいです！ (2019年4月4日 12時) (
レス) id: 5821fa07da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 橋さんの心の在り方に感動しました。私もこのように在りたいです。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まな★★ | 作成日時：2019年2月21日 10時
