第八十五話 ページ35
目覚まし時計が鳴り
私は時計を止めて時間を見る
六時丁度……準備しなくちゃ
制服に着替えて、令呪を隠す
六時半頃に台所に行き
今日のご飯は何にするか考える
調理に取り掛かり簡単なものを作る
「おはよう、A。具合は大丈夫？」
ジキルが心配そうにこちらを見る
私は挨拶をしたあと
"大丈夫だよ。心配かけてごめん"と言う
ジキルは安心したのかホッと息をつく
「昨日はその、ハイドが……迷惑をかけて」
言葉に詰まりながら話すジキル
……どうやら恥ずかしがっているようだ
それもそうだろう
別の人格とはいえ
意識がある時にそんなことをしたら
「止めようとしたんだけど……変われなくて」
昨日はずっとハイドだったから
交代するのが難しかったのだろう
"気にすることは無いよ"と励ます
「……でもあいつがあんなに潔く下がるなんて」
朝食をテーブルに並べる
ジキルの言葉に違和感を覚え
『どうかしたの？』
と思わず聞いてしまう
いや、そりゃ気になるだろう
「……あいつ欲にはいつも素直だから
君を傷付けると思ったんだけど
あっさり身を引いたから違和感があって」
欲に素直……それはどっちのことなんだろうか？
私を殺すこと？それともーーーーいや、やめた
こんなの朝に考えることじゃない
『少しは心開いてくれたのかな』
「……どうだろ？今までこんなことは
なかったけど、ただ単に飽きた可能性もあるし」
どちらにしろ昨日は丸く納まってよかった
朝食を食べようとしたら
「よくない！」
ジキルの怒号が響いた
彼が大声を出すのは珍しいので思わず手が止まる
「あっ、ごめん。でも僕は許せなくて
もし何かあったら……
君の事守れなかったかもしれない
ねえ、もうやめよう？
これ以上あいつを表に出すのは」
ーーーーそれはダメだ
その返事に過敏に反応する
まただ、また彼は"ハイド"を否定した
『前にも言ったけど、私はバーサーカーの事も
理解したい。魔力なら心配しないで
対策ならもうあるから』
「そんなの可笑しい！君ばかり気を使ってる！
僕は君を守るための武器だ！
所有者が思うように使う方がいい！」
…………ジキル
今日は地雷ばかり踏んでくるな
余っ程ハイドのことが嫌いなのか
いや、違う……嫌いとかそういうんじゃない
彼は認めたくないのだ
『そういう言い方はやめて！私は
ジキルやハイドのこと物だなんて思ってない！』
切実な叫びだった
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まな★★(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます！そのように思って頂けて嬉しいです！ (2019年4月4日 12時) (
レス) id: 5821fa07da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 橋さんの心の在り方に感動しました。私もこのように在りたいです。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まな★★ | 作成日時：2019年2月21日 10時
