第七十七話 ページ27
敵にこんなことを
聞くのはどうかと思う
だけど、彼は聖杯戦争に興味が無いと言った
それだけだけど、彼は信用に値する
リビングに案内され、ふかふかのソファに座る
「じゃあまずは根本的なこと
教えればいいのか？」
聖杯戦争とは根源に至るための儀式
魔術師たちはその悲願が叶うことを
求めていたらしい
「本来は儀式のはずなんだが、自分の手柄にしよう
とする輩ばかりで皆、殺し合いを始めたんだ」
それが聖杯戦争の始まり
ルールを決めて争うのだという
『儀式は、聖杯戦争は禁止された
……というのは？』
「ああーー親父が参加していた聖杯戦争で
一般人が大勢死んだからだよ」
……彼の父親が？
つまり、それは最近のことなのでは
「そうだな、だいたい4年前かな」
名のある魔術師の家の当主
遠坂ナギは父親の勝利を信じていたらしい
「だけどまあ、帰ってこなかったってことは
死んだんだろうよ」
呆気なく口にした重い言葉
何を考えているのかわからない
『それじゃあ誰が聖杯を手にしたの？』
「さあな。記録に残ってない。周りに何の影響も
なかったから、些細な願いだったんじゃないか？」
些細な願い……もしくは
誰にも記憶に残らない悪意のある願い
いや悪意というのは言い過ぎか？
だが大概の人間の願いは
欲望かまたは悪意のどれかしかない
善意のあるものは偽善者と呼ぶ以外
何者でもないと思うから
だからといってですべてを
否定したい訳じゃない
善意のある人だっているジキルみたいな
ーーーってなんで今ジキルを思い浮かべたの
私は頭の中を整理し、聞きたいことを聞く
『……教会の男のことは？』
ナギくんは立ち上がり
近くにあった写真立てを持ってくる
それを私の方に向けるようにして置いて座る
そこに映っていたのは
中学時代の彼と、兄弟？
あとは父親らしき人と……教会の男！
「こいつはシンって言うんだ
僕の親父の弟子」
知り合いだったのか
だけど、写真の中と前の映像の人物とは
雰囲気が違うし、笑い方も似てない
「親父が参加してた聖杯戦争終わってから
失踪してたんだけど、生きてたらしいな」
ーーーー彼の言い方には棘がある
シンという人物のことが余程嫌いなようだ
「親父の傍にいる頃からそいつのことは嫌いだよ
上辺だけの笑顔を向けられて誰が好きになるか
それにーーー」
それにーー？
「ーーーいや、なんでもないこっちの話だ」
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まな★★(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます！そのように思って頂けて嬉しいです！ (2019年4月4日 12時) (
レス) id: 5821fa07da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 橋さんの心の在り方に感動しました。私もこのように在りたいです。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まな★★ | 作成日時：2019年2月21日 10時
