第七十五話 ページ25
『えっと……剣道
弓道、柔道あとは馬術も少しだけ』
じっちゃんの知り合いに馬を飼ってる人がいて
じっちゃんに連れていかれた時に教わったな……と
遠い目になるのを堪える
ユウくんは引いたりしてないかな？
隣を見るとキラキラした目でこちらを見ていた
「へえ！馬術習ってたんだ！いいね！
今度一緒に乗らない？」
ーーえ？どこで？
というか会ったばかりの人に
そういうのどうかと思う
「そうかい？まあ僕、比較的、楽観主義だから」
『人間誰しもそうじゃない？』
思ったことを言っただけなのに
彼は笑って"君、ほんっと面白いね！"と言う
「いい気分転換になったよ、そろそろ帰るね」
『ううん、こちらこそ。ジュースありがとう』
彼は缶を全てゴミ箱の中に捨てて
そのまま帰っていった
ちょっと自由な人だと思ったけど
真面目なところもあるんだな
さてと私も帰りますか
＊
午後三時頃
やっと家に着いた
まさかこれほど人に絡まれる日が
来るとは思わなかったな
《いつまで寛いでるつもりですか！
仕事が溜まっているのですよ！》
《ええい！鬱陶しい！貴様は
我の母親か何かか！》
《あはは……またやっておりますなぁ》
《最近では微笑ましく思えてきました》
ーーー胸の奥から痛みがじんじんと伝わってくる
あの頃に帰りたい
私も彼女のように
「おかえり、A」
ジキルの声で現実に戻ってくる
そうだ、私は彼女になれない
当たり前のことなのに、こんなにも胸が苦しい
『ただいま、アサシン』
笑って誤魔化して
制服を着替えるために部屋へ行く
「……？A？」
＊
次の日のホームルーム
先生は高橋翔くんについて話した
"行方不明になった"と思わず下唇を噛む
何故なら私はその場にいたから
彼は帰ってこない、もう帰ってこないのだ
誰にもバレないように
スカートを握りしめていた
「ーーーーーー」
ーーーあれ？そういえば
あの時、紫崎くんは
高橋翔くんの顔を見たんじゃ？
ーーーどうしよう、何か誤解されてるかも
いや、誤解も何も無い
彼を殺してしまったのは事実なのだから
＊
いつものように昼食をとる
私の隣には当たり前のように
居座る柴崎くんの姿が
やはり確認しておくべきだろうか
『ね、ねえ……柴崎くん』
彼は珍しそうな顔でこちらを見る
私から話しかけることが滅多にないからだろう
いつもは彼から話しかけてくれるから
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まな★★(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます！そのように思って頂けて嬉しいです！ (2019年4月4日 12時) (
レス) id: 5821fa07da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 橋さんの心の在り方に感動しました。私もこのように在りたいです。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まな★★ | 作成日時：2019年2月21日 10時
