第七十三話 ページ23
「よかった。それでどこまで？」
『スーパー』
彼は一瞬驚いたが"ああ"と納得した
この前私が話したことを思い出したのだろう
「大変だな」
『そんなことないよ』
うそ、本当はめちゃくちゃ大変
お金の無駄遣いは出来ないし
水道代とか電気代とか色々大変だ
だけどわざわざ話すことでもないし
いいかなと思って嘘をついた
「何か困ったことがあったら頼ってくれ
手伝おう」
私は慌てて"いいよ！別に！"と断ったのだが
またしても"気にしないでくれ"と
彼は私の世話をやきすぎな気がする
……断れなくなり"じゃあ、その時は頼みます"
と敬語になってしまった
"はい！"と元気よく返事をする
彼は誰かの役に立てるのが嬉しいのだろうか
『こんな私に付き合うの貴方ぐらいだよ』
おかしくて笑ってしまった
私から距離をとってるのに
彼だけは私を気にかけてくれる
こんな主人公みたいな人は早々いないだろう
普通なら誰も手を差し伸べてくれない
だってみんな自分のことでいっぱいいっぱいだから
他人のことを気にしてる暇がないのだ
自分が可愛いのは当たり前だ
生きていく上でそれを失えば
簡単に命を投げ捨ててしまうだろうから
「…………」
『？ どうかした？』
「え？あ、いや……」
どうしたんだろ？
今日の紫崎くんはちょっと
らしくない感じがする
……と思ったが、彼はいつも通りだった
私が気にしすぎてるだけか
彼と話しているうちに
スーパーに辿り着いた
『ありがとう、紫崎くん』
「気にしなくていい
私がしたくてしたことだ」
お互いに手を振ってそのまま別れた
今日の夕飯と明日のお弁当の材料を買う
荷物は多いがなんとかなるだろう
大きな袋を持ち、家への帰路を辿る
ちょっと買いすぎたかもしれない
公園を通りかかるとある少年が銃を持っていた
ーーーーおもちゃだよね？
彼はそれを構えて数メートル
離れた場所にある空き缶を狙っていた
それをじっと見つめる姿は
どこか様になっているような気がした
息を飲み込んだ瞬間
その空き缶はいつの間にか倒れていた
ーーーーえ？見えなかった
というか、彼いま撃ったのか！？
空き缶を拾い、同じ場所に並べる
視線が上に向いた瞬間、こちらと目が合った
一瞬驚いた顔をしたが
ニコッと笑いこちらに手を振る
恐る恐る近付いた
『凄いですね。撃つ瞬間全然見えなかったです』
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まな★★(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます！そのように思って頂けて嬉しいです！ (2019年4月4日 12時) (
レス) id: 5821fa07da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 橋さんの心の在り方に感動しました。私もこのように在りたいです。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まな★★ | 作成日時：2019年2月21日 10時
