第六十四話 ページ14
…………高橋くんの顔は
少しだけ悲しそうだ
キャスターは言っていた
彼を"哀れな人"だと"幼かった"と
キャスターの意思を踏み躙ったにも関わらないのに
彼はマスターを憎んでいるようには見えなかった
埋め終わった土の上に石を重ね、手を合わせる
『……ごめんね』
貴方のやった事、私は許せない
だけど命を奪った私は自分がもっと許せない
……高橋くん私を憎んでいいよ
私も近いうちにそっちに行くかも
ああーーそれともーーーー
ずっと縛られ続けるのだろうか
「そろそろ行こうか…」
『………うん』
…………あれ？
どうしたんだろ？……足が、動かない？
そのまま膝から崩れ落ちて
尻もちをついて座り込んでしまった
「どうしたの？」
どうしたかって？
そんなの私が知りたいくらいだ
立ち上がろうとしてもうまく手足が動かない
『ちょ、ちょっと待ってね
疲れちゃったみたいで』
笑って嘘をつく
………多分私、緊張が解けて
力が一気に抜けたんだ
「…………」
すると、何を思ったのか
ジキルは私に近付き私の背中に右手を
左手は両膝を支えて私を持ち上げた
『ど、どうしたの？』
「動けないんだろう？僕が運ぼう」
え、いや普通に恥ずかしいのだが
"夜だから目立たないさ"
そういう問題じゃ………
でも動けないのは事実か
『お願い…します』
そっぽ向きながら頼んだ
失礼な態度とはわかりつつ
そうしないと恥ずかしくて
死んでしまいそうだったから
＊
高橋翔ストーリー
俺の家は昔から魔術師の家系だった
だけどそれももうおしまい
俺の家系は衰退していたのだ
最後の魔術師となるはずだった俺の兄は
事故でなくなってしまった
だから相応しい後継者がいない
それでも両親はまだ立派な魔術師だと言い放った
誇り高いというより、プライドが高い
俺の両親はこれ以上衰退する訳にはいかないと
優れない俺に魔術を教えた
魔術以外に興味が無いやつら
跡継ぎさえいればいいと思ってる
俺の事なんか愛していない
だから俺も彼らを愛さない
ただの知り合い
そんな認識でずっと暮らしていた
ある日、俺は衝撃を受けた
『橘Aです』
ーーーああ！また君に会えるなんて！
幼い頃から俺は彼女に惹かれていた
俺と同じくらいの歳なのに凄く大人っぽくて
誰の指図も受けず一人で進んでいく
彼女は誰のものでもない
その事実が余計に俺の想いを強くした
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まな★★(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます！そのように思って頂けて嬉しいです！ (2019年4月4日 12時) (
レス) id: 5821fa07da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 橋さんの心の在り方に感動しました。私もこのように在りたいです。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まな★★ | 作成日時：2019年2月21日 10時
