第六十一話 ページ11
ああ、そんなことよりも
「なんだ？ついに恐ろしくなったか？」
私は血飛沫を浴びた彼を優しく抱きしめた
彼は驚いたのか"離せ！"と暴れる
『助けてくれて…ありがとう……
ごめん、ごめんね…貴方の手を
汚してしまってごめんなさい』
そう言うと彼の動きが止まった
「馬鹿じゃねぇの？俺様ちゃんは
そう生きてきたんだ。これが普通なんだよ」
"普通"
自分にとってはそうなのかもしれない
私だってそうだった
暴力を振られるのも、罵声を浴びるのも
全部、全部私が悪いから
だから、死んだほうがいいって
痛いのより…死んだ方がマシだって
でも彼らに会えて変わったんだ
自分は生きていてはいけないと
そう思っていたけど
彼は私に"生きていて欲しい"と願ってくれた
『……ハイドの心はいま痛い？』
「は？なんだそれ？悪の塊みたいな俺が
そんなもん持ってるわけねぇだろ」
ーーーー例え人格が善と悪に分かれようと
人の心はそう簡単に割れるものだろうか？
私はそう思わない
ハイドだって痛む気持ちが
誰かを想いやる心があるはずだ
『誰かを好きになったことはある？』
「んなもんあるわけねぇだろ」
当たり前だろ？とでも言うように
不敵な笑みを浮かべる
ーーー彼は私と似ている
もしかしたらそのおかげで
私は彼と出会えたのだろうか
「つか、人の事よりテメェのことだろ？
人が目の前で殺されたってのに
顔色ひとつ変えねぇのな？」
………彼にはそう見えたのか
確かに酷く驚いたが
別に彼と親しい訳でもないし
突然の事で理解が追いつかなかっただけだ
「まあでも、その反応。俺様チャンは
気に入ったぜ？もし、泣き叫ぶってんなら
ぶっ殺してたかもな」
ーーーーそう
なんと返事をしていいかわからなかった
ただそれだけの話
『それで外にいたキャスターは？』
「あ？あいつならセイバーに任せたぞ」
セイバー？
すると誰かが小屋の中に入ってきた
紫色の鎧を身に纏った
それはまるで騎士のような人
いや、騎士そのものだった
「大丈夫ですか？アサシンのマスター」
ーーーまさか敵である私達を助けたのか？
騎士の後ろからマスターらしき人が現れる
ラフなパーカーの彼はこちらを見る
「………キャスターのマスターを殺したのか」
セイバーのマスターの表情が読み取れない
「違う！僕が殺したんだ」
いつの間にかハイドからジキルに戻っていた
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まな★★(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます！そのように思って頂けて嬉しいです！ (2019年4月4日 12時) (
レス) id: 5821fa07da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 橋さんの心の在り方に感動しました。私もこのように在りたいです。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まな★★ | 作成日時：2019年2月21日 10時
