【殺戮の天使】僕は殺人鬼ー化け物ーです (ページ29)

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番外編「みんなで旅行2」ページ29

「初めましてユウヤと申します」

言葉がわかる

それはつまり俺たちと

同じ言葉を話してるってことだ

ただ聞き辛いところもある

そこはAが通訳してくれた

なんか……ムカつくな、やっぱ

＊

その日の夜

ブラブラと彷徨っていると

よくわからない場所に出る

ーーーどこだここ？

辺りを見渡しても暗くてよくわからない

「ーーーーー？」

肩を叩かれ、後ろを振り向くと

ユウヤと名乗った従業員がいた

俺が誰かわかったのか

「どうしました？」

と聞いてきた

困ってるには困ってるが

こいつに頼るのが嫌だった俺は

知らん振りをして適当に歩いていく

すると、腕を掴まれる

「おい、離せよ」

俺の言葉がわからないのか

目を丸くしてしばらく考え込むユウヤ

俺はその手を払い歩いていく

「あ、あの！そっちじゃないですよ！」

ーーーちっ……

俺は進むのをやめて

反対方向に歩いていく

「そっちでもないです」

「もっとわかりやすく言えよ！」

怒鳴るとユウヤは恐縮する

その様子を見て少しだけスッキリする

俺はお前なんかより強いんだ

弱っちいやつにAは相応しくないんだよ

ーーー？何考えてんだ、俺

その時頭を軽く叩かれる

あまり痛くはないが、誰だ叩いたの？

後ろを振り返ると

少しだけ髪が濡れたAがいた

眉を歪ませてこちらを睨んでいる

『ーーーー。ーーーーー』

「ーーーー！ーーーー！」

また、訳の分からないことを

だがあいつの表情を見る限り

ユウヤに対して謝っていたのかもしれない

あいつにお辞儀をしたあと

俺の手を掴んで歩いていく

『なんであそこにいたの？レイは？』

「迷ったんだよ。レイは買い物しに行った」

重くため息をついた後

レイを探しに行くことになった

「おい、いい加減、手離せよ」

『……ダメ』

それ以上は何も言わなかった

ただ返事の代わりなのか

俺の手を強く握っていた

ーーーなんだ、こいつ

どうしたんだ？

何時になく真剣な顔をしている

としばらく歩いているとレイを見つけた

どうやらレイも迷っていたらしい

Aの姿を見てホッとしたのか

自らAの手を握る

「……なんでテメェも握んだよ？」

「ちょっと……不安だから」

……やっぱりわからないとこに来ると

焦っちまうもんなのか

レイはガキだから尚更だよな

『じゃあ、一緒に戻ろうか』