【殺戮の天使】僕は殺人鬼ー化け物ーです (ページ20)

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彼の過去の話ページ20

エレベーターに乗り

次の階に向かう

ーーーおかしいな

神父様、階を増やしたのか？

新しいフロアの主が呼ばれたのかな

会ったとことないし

慎重にいかないと

そんな時はレイはザックにこう質問していた

「ザックの火傷ってどうしたの？」

ザックの雰囲気が変わった

あまり触れられたくなかったのだろう

レイは言った"ザックのことが気になった"と

彼女に一体どんな心境変化があったのか

殺されることにしか執着しなかったはずなのに

ザックは"面白い話じゃねぇぞ"と忠告する

レイは"面白くなくてもいい"と言った

………本当に聞いていい話なのかな

ザックは自嘲気味に笑うと

「ガキん頃によぉ。家にいた男に
火をつけられたんだよ」

小さい頃のためあまり記憶はないが

彼の産んだ母親の連れの男が

彼を殺そうとしたのだという

だけど、ザックはなかなか死ななかった

結局、彼の母親が彼を布でぐるぐるに巻いて

ある家に金を払って放り投げたそうだ

…………母親なのに酷いことをするものだ

お腹を痛めて産んだのに

僕はまだ環境に恵まれていたのか

まあ、母上は好きだけど

父上は嫌いだったからな

「んなもんだ、どうだ、満足かよ」

レイは彼の問いに頷いた

"面白かったのか？"

「ううん、別におもしろくないけど」

「あぁ！？」

「でも、火傷のことを知れたから私は満足したよ
なんでだろう……知りたかったのザックのこと」

確かに知りたいというのはわかる

僕も彼のこと、あまり知らないから

なんとも僕が居づらい空気になったのだが

まあ、これもいいかな

「ザックたちはまだちゃんとここから出たい？」

『僕は、別に……どっちでもいいかな』

「俺は出るからな！出なきゃ、こんな
必死こくわけねぇーだろうが！」

まあ、そりゃそうですよね

命狙われてるし

僕もそうなんだけど

ここは僕の育った場所でもあるから

ちょっと複雑だし、残ろうと思ってる

「言っとくが、俺の言葉に何ひとつ
嘘なんかねぇぞ」

『正直さだけが取り柄だもんねw』

「あ！？なんだと！！」

からかってみたけど

僕は正直いって

彼のその態度が眩しいとさえ思ってる

僕も……君みたいになれたらな

なんて…僕はもう穢れてしまってるんだけど