【殺戮の天使】僕も殺人鬼の一人です

こんな終わりも悪くない ページ40

僕も人を殺さなければ


ここにいなかったのだろうか


こんな自分はいなかったのだろうか


僕は………”私”はただ


幸せになりたかっただけなのに



「頼むわ。今だけ俺に殺されるな」



「……うん」



その言葉が合図のように


鬼ごっこが始まる


僕は傘を剣にして


ザックの前に立ちふさがる


後ろにはレイが



「A！！」



『スゥ………前だけ向いて走りやがれ！
僕も約束を…誓いを手伝ってやるっ！！』



レイの足音が聞こえる


……いい子


狂気じみたやつを相手にするのって


大変なんだよね



「………俺に近づいたら殺すぞ」



息が荒れてる


やっぱり苦しいんだ



「つか…お前……無事だったのかよ」



『…ははっ、死んだって思った？
でも僕ってさ…化け物だから』



「……………」



ザックは何も言わず


僕に斬りかかる


…誘導しつつ時間を稼ごう



『ねえ…知ってる。僕らまだマトモに
戦ったことないんだ
どっちが強いか…気になるねっ』



なんて挑発するけど


僕は君を傷つける気なんて


微塵もない


だから…レイじゃなくて


僕を傷つけなよっ！



＊
『ゲホッ……ケホッ……』



僕はレイがたどったと思われる道を進む


その先は行き止まりだった



「！！ A！！！！」



レイが驚くのも無理はない


だってもう…傷だらけだしね……


そんなに深い傷はないけど


出血多量で死んじゃいそう…


…………あーあここまでか


後ろから聞こえてくるザックの足音


ザックは僕の首に鎌の先を向ける


でもさ



『ザックに殺されるのも、悪くないか』



「っ…！」



その一瞬を私は見逃さなかった


…ザック、なんでそんな顔するの？


………少しは僕のこと


想ってくれたんだ



『ザック…ごめん、ねっ』



ザックは鎌を振りかざす


僕は覚悟を決め


目を閉じる


同時に銃声の音が聞こえる


目を開けると


ザックの肩に弾は当たっていた



「はぁい！よくここまで
いらっしゃいました！」



キャシーか…


銃殺刑の部屋


どうりで銃がいっぱいあるわけだ



「…うる……せぇ…」



「…ザック！」



「寄るな！殺すぞ！！！」



『ザック………』



キャシーはレイに銃を与え


殺し合いを強制させるつもりだ


僕も含めて殺らせる気か？


…ま、僕はそんなことしないけどね


レイは銃を拾う


……………ザックとレイは向かい合うが


レイが一向に撃とうとはしない



「……撃たない」

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