On the Edge of Contrasting Worlds 5

225 ページ35

side cn


ふたりが、また契りを交わしたことを瞬時に判断できたのは、ユウトを覆うヒカリの所為ではなくて、

甘い、ううん、甘ったるいとも言えるほどの空気を漂わせるケイちゃんの、ユウトへの態度。


yt「このスープ美味しい。」

in「ほんと？よかった。」


朝食を食べるユウトを見つめるケイちゃんは、昨日までと全く違う。

まるで、彼の世界にはユウトしかいないかの様に、うっとりとユウトを見つめるその瞳に、



ヒカリが、見えない ＿＿＿



ケイちゃんの瞳は、いつもヒカリで溢れていた。

青と緑が混ざり合った、美しいエメラルドグリーン。

その宝石の様な輝きを、その瞳は、強すぎる程放っていた。



ym「ユウリ…？」

cn「っ、ああ、ごめん。」

ym「……、」


リョウスケもきっと、同じことに気づいてる。


yt「ユウリ、」

cn「っ、」

ユウトに突然声をかけられ、必要以上に驚いた。


cn「…ん？」

yt「今日の午後、ケイのドレスのサンプルが届くんだ。試着するの、手伝ってあげてくれる？」


ドレス……

そうだ、あまりにも色々な事が起きすぎて忘れていた。


ふたりの結婚式は、１週間後なんだ。


in「ド、ドレスなんて、俺が着れるのかな…？」

yt「クス、大丈夫だよ。ちゃんとケイのサイズに合わせて作ってるから。」

in「…でも、似合うかな…。」

yt「ケイに似合わないわけないだろう？それに、全て俺がデザインしたんだよ。」

in「ユウトが？」

yt「ああ。ケイに喜んでほしくて。」

in「…ユウト…。」


ユウトの言葉は、魔法のようにケイちゃんに溶け込んでいき、彼はユウトをまたうっとりと見つめる。


yt「…というわけなんだ。ユウリ、いいかな？」

cn「…うん、分かった。」

in「ユウリ、ありがとう。」

cn「…ううん。」


そう微笑むケイちゃんを、僕は、直視出来ずにいた。



ふたりは、同意の上で昨夜も繋がったんだろう。


ケイちゃんの記憶に、また大きな変化が起きたのは明らかだ。


けれど、リョウスケが言う様に、彼はこうなる運命なんだ。


そう、自分に言い聞かせた。




in「ん、コーヒー持って来るね。」


ユウトが食事を終えたと同時にそう笑って、キッチンへ入るケイちゃんに目をやった。



ドクン……＿＿



その後ろ姿の、首筋に、



薄っすらと浮かぶ、黒い痣……




それは、


闇の力を使われた者に、できる印 ＿＿＿






そんな、嘘だ……



どう、して…？



どうして、そこまでする必要が……？



.

226→←224

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す