224 ページ34
side yt
決して、無理矢理に契りを交わすつもりはなかったんだ。
けれど俺は、ケイの記憶が塗り替えられる事実を目の当たりにして、自分を抑制することができなかった。
止め処なく涙を流し、動けない身体をひどく震わせながら必死で抵抗していたケイを思い出すと、胸が締めつけられる。
純粋に、ケイと愛し合いたい。
その想いは変わらない。
けれど、けれど……
ヒカリが俺の中に流れ込み出したのと同時に、ケイの意識は薄れていった。
もうじき、目覚めるだろう。
君の中にあった記憶と、その代わりに新たに生まれた記憶は、
俺の望むカタチに、なっているのだろうか。
隣に眠るケイへの罪悪感を拭いきれず、あまり眠れないまま朝を迎えた。
冷たい水で顔を洗い、気持ちも一緒に引き締める。
ケイが眠るベッドへ戻ると、
彼は、うっすらと瞳を開けた。
そして、
その瞳が俺を捉えたのと同時に、
in「……ユウト……。」
狂おしい程愛しいフィアンセは、喉が焼けそうな甘さ溢れる声で俺を呼び、蕩けるような笑顔を見せた。
ドクン……と激しく、胸が揺さぶられる。
そのまま、白くて華奢な両腕が俺の方に伸びてきて、
yt「…ケ、イ…、」
身体を近づけると、俺の首にその腕が絡まり、引き寄せられた。
in「……おはよう、…ユウト…。」
耳元で囁かれたその声は、甘いなんてものじゃない。
全身に、心の奥底までに染み渡る様な、愛くるしい声。
yt「……、」
俺は、返事をするのも忘れていた。
ケイは、俺に絡ませた腕の力を強めて、小さな子供が甘える様に抱きついて、
in「…ユウト。」
もう一度、俺を呼んだその声には、
溢れんばかりの愛が込められていた。
ゾクリ……と思わず身震いする。
俺が、
望んだ通りだ ____
yt「…愛してるよ、ケイ。」
そう耳元で囁くと、ケイは俺に絡ませた腕を緩め、俺たちは見つめ合い、
そして、
in「……おれも……、」
ドクン……___
in「ユウトを愛してる。」
柔らかく微笑んで、瞳を閉じるケイに、
そのまま吸い寄せられる様に、キスを交わす。
ケイの記憶は、俺が望む通りに、
塗り替えられている。
もう、何も、邪魔するものなどない。
此処に居る存在は、偽りでも幻でもなく、
現実であり、真実となる。
.
270人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Link(プロフ) - さおりさん» さおりさん、読み返して下さり本当にありがとうございます。とても複雑になってしまい、それぞれの想いが入り交じり、苦しい気持ちにさせてしまい、ごめんなさい!さおりさんが下さる感想はとても参考になります。まだ重くなるかもしれませんが、最後までお願いします! (2017年11月5日 6時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
さおり(プロフ) - 昨日今までのお話読み返してみました。BESTで過ごしていたケイのことを過去にしたくないと感じつつも、ケイはもう忘れてしまっていて…とても複雑です(;_;)ユウリもケイのことになると弱くなっちゃいますね(TT)駄目だとわかっていても言えない苦しさが伝わってきます泣 (2017年11月4日 23時) (レス) id: 80f2463613 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - みるみるみるきーさん» ううー、そうですよね…!率直な気持ちを聞かせてくれて嬉しいです!皇帝陛下の初恋、めんどくさいことになってますが!どうぞ、あたたかく見守って下さい!本当のケイを取り戻せるまで、どうぞ見守って下さい。いつもほんとにコメントありがとうございます! (2017年11月4日 23時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - ううぅーー。ユウトの気持ちもわからんでもないがぁぁ。結局、やっぱり、洗脳して得た幸福なんじゃないのぉぉ???いいの?それで?それじゃあ、ほんとのケイじゃない気がするよォぉー!!皇帝として立場もあるのはわかるけど。ダメだよォ、これじゃあ。 (2017年11月4日 11時) (レス) id: 40e0ecae06 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - さおりさん» さおりさん、いつもコメントありがとうございます!ダークに、なってきました…。純粋ではあるんです。ただ皇帝陛下の初めての恋愛なので…暴走してますね。ユウリはケイにとって大切な存在になってきてます。これからもどんどん感想下さい! (2017年11月2日 6時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ