202 ページ12
cn「…僕が、6歳の時に、お母さんは死んだんだ。」
静かにそう話した僕を、
in「………。」
ケイちゃんは黙って見つめる。
cn「まだ幼かったけれど、不思議だね。お母さんのご飯の味は、覚えてた。」
しんみりとはさせたくなくて、僕は微笑んだけれど、ケイちゃんは、綺麗な瞳を潤ませて、
in「……これから、たくさん作るから。」
今にも溢れ出しそうな涙を堪えながら、
in「大切なお母さんの味、ユウリとユウトが、忘れないように…。」
そう、優しく微笑んだ。
その言葉に、トクンと胸の中があたたかくなる。
この世界に生まれたのに、幼い僕は、暗闇が怖くていつも泣いていた。
「ユウリ、おいで。」
お母さんは、そんな僕に呆れることなく、いつも優しく抱きしめてくれていた。
優しく、あたたかく、微笑みながら。
それは、ちょうど、
今目の前にある微笑みと同じ ___
cn「……お、かあさん…、」
in「……ユウリ、」
無意識のうちに、思わずそう呼んでしまった僕の側に、ケイちゃんはそっと歩み寄って、
トクン…… ___
ゆっくりと優しく、包み込むように、僕を抱きしめる。
トクン……トクン……
本当なら、ケイちゃんのヒカリに触れることなんて、できないのに……
何故だろう。
あたたかくて、とても心地良い。
おかあさん、おかあさん……
また、あなたの温もりを感じることができるなんて……
ケイちゃんの胸に顔を埋めて泣きじゃくる僕の髪を、彼は優しく撫でながら、何も言わずに抱きしめてくれていた。
.
270人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Link(プロフ) - さおりさん» さおりさん、読み返して下さり本当にありがとうございます。とても複雑になってしまい、それぞれの想いが入り交じり、苦しい気持ちにさせてしまい、ごめんなさい!さおりさんが下さる感想はとても参考になります。まだ重くなるかもしれませんが、最後までお願いします! (2017年11月5日 6時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
さおり(プロフ) - 昨日今までのお話読み返してみました。BESTで過ごしていたケイのことを過去にしたくないと感じつつも、ケイはもう忘れてしまっていて…とても複雑です(;_;)ユウリもケイのことになると弱くなっちゃいますね(TT)駄目だとわかっていても言えない苦しさが伝わってきます泣 (2017年11月4日 23時) (レス) id: 80f2463613 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - みるみるみるきーさん» ううー、そうですよね…!率直な気持ちを聞かせてくれて嬉しいです!皇帝陛下の初恋、めんどくさいことになってますが!どうぞ、あたたかく見守って下さい!本当のケイを取り戻せるまで、どうぞ見守って下さい。いつもほんとにコメントありがとうございます! (2017年11月4日 23時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - ううぅーー。ユウトの気持ちもわからんでもないがぁぁ。結局、やっぱり、洗脳して得た幸福なんじゃないのぉぉ???いいの?それで?それじゃあ、ほんとのケイじゃない気がするよォぉー!!皇帝として立場もあるのはわかるけど。ダメだよォ、これじゃあ。 (2017年11月4日 11時) (レス) id: 40e0ecae06 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - さおりさん» さおりさん、いつもコメントありがとうございます!ダークに、なってきました…。純粋ではあるんです。ただ皇帝陛下の初めての恋愛なので…暴走してますね。ユウリはケイにとって大切な存在になってきてます。これからもどんどん感想下さい! (2017年11月2日 6時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ