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城の裏側に、とても大きなドーム型の建物があり、その入口までユウリに連れられて歩いた。
今の時間は、午前10時くらい。
なのに、外はやっぱり暗闇で、一切明るくなることはない。
cn「ここだよ。」
今度は何のサプライズなんだ…
ユウリの研究所かもしれない。沢山のファントムやクローズ達が生み出されている施設かもしれない。
多少の不安を抱えたまま、扉を開いたユウリに促され、中に入った。
その瞬間、
in「っ…!!」
感じる、暖かさ……
そして、目に飛び込む、明るい光……
明るい…
とても、明るい……
in「………。」
そこは、沢山の植物や花が咲き溢れた温室だった。
まるで、俺の世界のように、明るくて美しい空間が広がっている。
俺は息を呑んだまま、呆然と立ち尽くした。
cn「クス、綺麗でしょう?」
in「…こ、こは?」
cn「見ての通り、植物や花が育つ温室だよ。小さな植物園みたいなものかな。」
in「…この光は、電気なんですか?」
cn「そうだよ。おいで、中にはもっと沢山の花が咲いてるよ。」
電気だけで、ここまでの植物が育つの…?
cn「外は暗闇でしょう。だから、ここは庭なんだ。温室の庭。」
説明しながら歩くユウリに付いて行くと、木々でできたトンネルが見えた。
その中を、ゆっくりと歩いて抜けていく。
in「っ……、」
トンネルの先にあったのは、小さな円状に芝生が広がった場所。芝生の周りを囲むように、色とりどりの花々が咲いていて。
まるで、秘密の花園のようだった。
cn「クス、気に入った?」
in「……綺麗な、所ですね…。」
cn「この部分はね、最近できたの。」
in「え…?」
cn「ユウトがね、ケイちゃんの為に作ったの。」
in「っ……、」
ユウリの言葉に、何故か、トクンと胸が高鳴った…
この、綺麗な空間を…?
俺の、ために…?
cn「暗闇ばっかりの世界に、初めて来るんだから、落ち着ける空間を作ってあげたいって。そう言いながら、誰の手も借りずに、全部ユウトが一人で作ったんだよ。」
闇の皇帝が
どうしてそこまで……
トクン… トクン……
微かな、胸の高鳴りが抑えきれない…
ずっと、暗闇の中にいると、本当におかしくなりそうだった。
芝生の真ん中に立ち、瞳を閉じた。
明るい光。色とりどりの花々。緑の爽やかな香り。
静かで、心が、安らいでいく。
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Link(プロフ) - なつめろさん» なつめろさん、大変嬉しいお言葉ありがとうございます。わかりにくくて申し訳ありません。こちらの物語、ただ今再編中でして、でき次第公開していく予定です。終わりましたらまた公開しますので、少しお待ちいただければと思います。よろしくお願いします。 (2020年5月19日 4時) (レス) id: c881d3e4dc (このIDを非表示/違反報告)
なつめろ(プロフ) - 終始ドキドキしながら読ませていただきました!本当に感動して涙が止まりませんでした。続きもぜひ読みたいのですが、友達ユーザー限定となっているので、もし良ければ友達ユーザーに承認していただけたら嬉しいです (2020年5月18日 23時) (レス) id: 96f532d0e8 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - 透羽さん» あたたかいコメント、本当にありがとうございます。コメントに気づかず、お返事が遅れてごめんなさい。このお話で泣いて下さったことが本当に嬉しいです。まだお話はしばらく続きますので、引き続き読んでご感想を頂けると幸いです。 (2017年11月8日 15時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
透羽(プロフ) - 久しぶりにこんなに素晴らしい作品に出会えました!お話の中盤で号泣しながら読んでいましたw作者様は本当に天才だと改めて思いました。勝手ながらお気に入り作者に追加させて頂きました!これからもいろいろな作品楽しみにしています! (2017年11月7日 19時) (レス) id: 9a8d157422 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - みかんさん» いつもコメントありがとうございます!ドキドキしてもらって嬉しい限りです!ユウトはケイの為に命をも捧げれる、そこに嘘はありません。と、そこまでお答えしますね!これからもよろしくお願いします。 (2017年10月30日 20時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
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