On the Edge of Contrasting Worlds 3

118 ページ18

cn「ケイちゃん、どう？口に合う？」


さり気なく話しかけると、


in「っ…、…あ、はい。…おいしい、です。」


ビクッと驚いて、か細い声で答えるケイちゃんは、怯える様さえも可愛らしい。ユウトが惚れるのも納得だ。


cn「ケイちゃんは、何が好き？白いご飯っていうのは聞いてる。」


ニッコリと親しげに話す僕に、


in「…はい。白米が、好きです。…あと、トマトが…、」


ほんの少しだけ表情が和らぐ。


ym「うぇ、俺トマト大っ嫌い。」

cn「そうだ、リョウスケの一番苦手なの。」


割り込んだリョウスケに、ケイちゃんは凄く驚いたような表情を見せる。

そりゃそうだよね。冷酷なコマンダーのイメージしかなかっただろうから。


yt「じゃあ、今度はトマトの料理作ってあげてよ。」


と、微笑みながらお願いするユウトに、ケイちゃんはもっと驚いた顔をして。


ym「え、マジか。俺触るのも嫌なのに。」

cn「そんなに？じゃあケイト手伝ってあげてよ。」


黙々とご飯を食べてるケイトにも話を振ると、


kt「いいけど、俺が手出して大丈夫？」

ym「大丈夫じゃねぇ。」

cn「即答。」

yt「ケイトの料理には、いい思い出がない。」

cn「トマト切るくらいできるでしょ。」

ym「こいつの血も混じるぞ。」

kt「そこまでないよっ。切るくらいできる。」

yt「いつかの豚カツ、肉砕いてメンチカツになってたしな。」


そのユウトの一言に、


in「……フ…、」


ケイちゃんが思わず微かに笑って、みんなが注目した。


in「…あ、ごめ、なさ…、」


僕たちの反応に驚いて、直ぐに俯いたケイちゃんに、みんなが嬉しくなる。


cn「ひどかったんだよ。メンチカツだったらいいけど、衣もないし、ぐちゃぐちゃの肉の塊。」

in「……。」

kt「そこまでなかったよ。味は大丈夫だったでしょ？」

ym「俺、見ただけでやめた。」

yt「俺も。食えるわけないよね。」

in「……。」


ケイちゃん、ちょっと安心してくれたかな。

今まで敵だった、悪の軍団がこんなに仲良く団欒してる、なんて思いもしなかったよね。


ほんの少しだけ、表情が和らいだケイちゃんを、ユウトはこの上なく優しい顔で見つめてる。

だけど、ちょっと見過ぎ…

ねぇ、顔、デレデレになってる…
怖い、怖いから。

あ、ほら、ケイちゃん気づいて、また顔が強張っちゃった。


これはまず、ユウトに恋愛の仕方を教えていかなきゃ、ケイちゃんどうやったって逃げ出しちゃうよ。


.

119→←117

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す