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お通夜の時は流石に全員がしんみりと静まり返り、母さんも俺も涙にくれたけれど、


「裕翔、邪魔よ!立ってるだけなら向こうに行ってて!」

「あ、すいません。」


もう、背だけはやたらデカいんだから!なんて俺には笑えない物言いを、親戚の叔母さん達と笑いながら、それはもう忙しく動き回る母さんたち。

通夜が終われば、集まった皆さんの為の食事の準備なのだ。女共はとにかく忙しく、田舎のやり方に従って動き回るのだ。


俺は邪魔にならない様に、じいちゃんとの最後の時間にひとり浸ろうと、当人が眠る棺桶の側に立っていると、


「裕翔、ちょっと来んしゃい。」

ばあちゃんの優しい声が静かに響いた。





「じいさんがね、これをあんたに渡して欲しいって。」


じいちゃんの書斎の中に入ったのは久しぶりで、ああ変わってないな。本がまた増えたかな。なんて見渡してた俺に、ばあちゃんは、白いA4サイズの封筒を差し出した。


「あんまり忙しいから、忘れるとこやったわ。」

こっちが戸惑うくらい、ばあちゃんは用が済むとあっさりと部屋を出て行く。

居間からばあちゃんを呼ぶ声が聞こえる。そうだよな、喪主だから忙しい。久々に会う俺が元気そうならそれでいいよな。





ガサ、と紙封筒を開けると、


「……本だ…。」


中から出てきたのは、一冊の本。


そうだ、幼い頃、じいちゃんはいつも俺に本を読んでくれていた。

自分で読める様になってからは、誕生日や何かのお祝い事の度に本をプレゼントしてくれた。


これは、最後のプレゼント、ってこと…。


駄目だ、また泣いてしまう。

ぐっと熱くなる目頭を堪えながら、その本に目をやると、


「……え、洋書?」


表紙には『 Seven Fragments of the Mirror 』というタイトルと、真ん中に大きく描かれた絵。

潔癖課長に使えない新人と罵られても、このくらいの英語は読める。なんとなく意味もわかる。なんとなく。

表紙の絵には、白髪というよりは銀髪の、青年?いや女の人?が大きな鏡のような物を掲げている。

その背後には、背の高い人影が彼または彼女の肩を支えて立っているように見えるが、顔のところはぼやけている。

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こさこ(プロフ) - とても素敵でわくわくするytinに久しぶりに出会えました。ストーリーも凄く面白くて、次回の更新が楽しみです。これからも頑張ってください! (2020年8月3日 5時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - みるみるみるきーさん» みるきーさんありがとう!!!ひっさしぶりの更新…笑 ヤブウとはね、匂わせちゃうイノえもんだよねー笑 (2020年6月6日 23時) (レス) id: 1de82a156c (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - わーい!!更新更新!うれしいー!!なんか、過去になんかあったのー??と思わせるような言い方は…裕翔が気になるよねぇ。あたしもなるwww (2020年6月6日 12時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - れいさん&みるきーさん☆うん、そう。気に入ってくれてありがとーーーっ笑笑 (2019年4月23日 10時) (レス) id: 10e8c83903 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - うんそう!あたしも大笑い!!好きっ!このノリ!! (2019年4月22日 20時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2018年11月3日 15時

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