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「ピアニカとリコーダー以外には触れたことある楽器はございません。」
「ユウトすごい!2つも経験済み!」
「君ならできるよ。」
通じないのは話だけじゃないらしい。
貴方達は人の心まで読めるし、空も飛べるし、透明人間にだってなれるし、未知なる力で溢れてるかもしれない。
けれど、俺は凡を極めているし、これからも凡を追求したい。凡中の凡でいいのだ。
「明日の本番まで、あと約30時間。ドラムセットを完備した特別なスイートルームをホテルに用意してるから。」
「わぁいっ!スイートルームだって!楽しみだねぇ、ユウトぉ。」
喰いつくところはスイートルームではないことを伝える気力はもう俺には残っていない。
ドラムを叩くあの2本の棒と菜箸の見分けもつかない俺に一体全体どうしろというのか。
「無事にライブが成功した暁には、」
白目を向いて泡を吹き出しそうな俺を他所に、
「You will get what you need. 」
「センキューっ、神さまぁっ!」
盛り上がっているふたりは「まぼろし」だと、テレビでよく見かける性別不能な美容家の雄叫びが、
脳の片隅で響いていた。
「ひろぉいっ!ねぇユウトっ、ルームサービス?っていうので何でも食べ物持って来てくれるんだってぇ!」
「……へえ、そうなんだ。」
会場近くの高級ホテルのスイートルームに本当に連れて来られ、本当に存在するドラムセットを目前にしている俺の隣ではしゃぐイノちゃん。
「おおきなベッドぉーっ。ふたつもあるけど、こっちので一緒に寝ようね、ユウト。」
ああこれは、可愛いすぎる恋人との初デートに奮発して泊まるスイートルームでの甘すぎる夜だと信じたい。
だが俺がそのベッドを使うことは1秒足りともないのをわかっていて、目の前の小悪魔宇宙人は翻弄しやがる。
楽譜を手にしたが何のことやらさっぱり解らない俺に、岡本氏はタブレットを渡してくれた。
それに映る動画つまりはドラムの叩き方講座を今延々と観ている。
幸いなことに、俺が代行しなければならない曲はただひとつ。
「TO THE GALAXY、これを頼むよ。」
「っ、リード曲かつライブのメイン曲じゃないですか!!」
「うん。だから、頑張ってね。」
声色も表情も雰囲気も神のように優しいが、やってることは鬼、いやダースベイダー並みに悪だ。
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こさこ(プロフ) - とても素敵でわくわくするytinに久しぶりに出会えました。ストーリーも凄く面白くて、次回の更新が楽しみです。これからも頑張ってください! (2020年8月3日 5時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - みるみるみるきーさん» みるきーさんありがとう!!!ひっさしぶりの更新…笑 ヤブウとはね、匂わせちゃうイノえもんだよねー笑 (2020年6月6日 23時) (レス) id: 1de82a156c (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - わーい!!更新更新!うれしいー!!なんか、過去になんかあったのー??と思わせるような言い方は…裕翔が気になるよねぇ。あたしもなるwww (2020年6月6日 12時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - れいさん&みるきーさん☆うん、そう。気に入ってくれてありがとーーーっ笑笑 (2019年4月23日 10時) (レス) id: 10e8c83903 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - うんそう!あたしも大笑い!!好きっ!このノリ!! (2019年4月22日 20時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
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