a drop of orion 2

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おかえりのご挨拶をして、園児が帰ったのを見送ったと同時に、俺はトイレに駆け込み、大ちゃんに電話をかけた。


「ああ、知ってる、皆既月食だろ？月食デートに行くよ、今夜。」


「…かいき、げっしょく？」


「うん、テレビでやってんじゃん。今回のはすごいんだってさ。月食の間は月が赤く見えるらしいよ。」



ドクン…… ＿＿


赤く、見える………



「あの何年か前に見えた、なんだっけ、なんとかムーンみたいに見えるらしい。あー、なんだっけ。」


「ブラッド、ムーン…。」


「あ！それそれ！それと同じのが今夜、」


「っこんや、何時に！？」


「えっとー、９時から12時の間だったかな。明日土曜でよかったよー。俺らはこの前見つけたカフェで飯食ってから行くけど、なに、涼介も、」


ブツッ……、

話途中だった大ちゃんとの電話を切り、俺はトイレを出てそのまま駆け出した。


緊急の用が入り、この後の清掃と職員会議にはどうしても居れない、このまま早退させてくれ、と土下座する勢いで園長先生に話すと、

俺の余りの勢いに圧倒されたのか、二つ返事で了承してくれた。


「ありがとうございます！来週のトイレ掃除、全部俺に回してください！！」


涼介先生、私たちにもそんなに大きな声出せるんですね、なんて笑ってくれた園長先生には感謝してもしきれない。







随分と夜空を見上げてはいない


けれど、オリオンがそこにいるのはわかってた


青白く、光放っていたことをわかってた







あおい、おほしさま




それは、オリオンのことだ ＿＿＿





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