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俺の提案に、奴はニヤリと笑って、
『それは良い考えだ。お前の手で、此奴を消すがいい。』
慧から僅かに距離を置いた。
複雑に絡められた、その太くて頑丈な縄は、もがく度に喰い込み、傷だらけの身体を更に苦しめている。
ポケットに隠し持っていた、ケイトからもらったペンを、俺がゆっくりと取り出すのを目の当たりにして、
シャキンッ…、と響いた音に、
ビクッ、と身体を震わせたのを最後に、
もがくことも、
言葉を発することも、
俺を見つめることも、
止めた慧は、静かにその瞳を閉じた。
その瞬間、
ポトン…ポトン…、と、涙の雫が、
俺の心の底に、落ちていった ___
思えば、最初からずっと、こうだったね。
「けい、だよ。よろしくね、りょうすけ。」
あの日からずっと、俺のために。
そして、それはいつしか、
「涼介のことが、好きだから……。」
慧自身のために ___
握りしめた剣を、真っ直ぐに慧に向ける。
ユウトに教えてもらった剣裁きを、思い出せ。
縄は、その身体に複雑に絡んで巻かれている。
単純に大木と離すために切り裂けばいいんじゃない。
そして、問題は、
その後だ………
臆病で、弱虫で、ひとりじゃなにもできなかった。
外に出ることも、他人と会うことも怖かった。
そんな俺が、
不思議と、
剣を持つこの手の、
震えひとつも、感じないんだ。
「…彼に手を出せば、石は取り出せない。」
あの時、慧は、確かにそう言った。
それはつまり
俺が消えれば
この石も、消える ___
覚悟はできている。
慧、今度は
今度は俺が
俺が、君を守る番だから ___
.
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Link(プロフ) - 青空と虹さん» 本まで読んだんですね!私は映画だけですが、同じく大好きなんです。こうしてパーシーのお話をできるのが嬉しいです。お話の続き、楽しみにしてくれてありがとうございます。私の話はぶっ飛んだ内容ばかりですが、楽しんで頂けるよう頑張ります! (2018年3月9日 7時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - Linkさん» 合っててよかったです!!パーシージャクソンは大好きで、本も全部読んでいたのですが、確かに山田さんに雰囲気似てるかも…!パーシージャクソンの片鱗を探しながら、楽しみに読ませていただきます^^* (2018年3月8日 14時) (レス) id: 66b7c3c525 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - 青空と虹さん» はじめまして!コメント読んだ瞬間ににやけてしまいました!ついにわかる人が!と。そうです、パーシージャクソンです!主人公の雰囲気が山田さんに似てるな(勝手な見解です)というとこから妄想を膨らませました笑 コメント本当に嬉しかったです。ありがとうございます (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - chieさん» chieさん、いつもありがとうございます!コメント頂く度に励まされます!ふたりの行く末を見守ってください。楽しんで頂けるよう頑張ります! (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - めぐみさん» めぐみさん、ありがとうございます!大好きというお言葉だけで、このお話が救われます。続きを楽しみにしてくれてありがとうございます。これからもよろしくお願いします! (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
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