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戦い方を、武術を、剣術を教えてほしいと頼んだ俺を、
「そんなことをしている場合じゃない。一刻も早くその石を取り出し、俺たちがケイを救い出す。」
そうばっさりと切り捨て、ユウトは降り着いた駅のバス亭で、星雲の森の入口に行くバスの時間を確認する。
けれど、そんなユウトに反して、
「雑念を捨てるんだ。」
ケイトは俺を見つめて、静かにそう告げた。
「…ざつ、ねん…?」
「持っていただろう?自分に対して、そして、ケイに対して。」
ドクン…… __
「………だいっきらいだ…。」
どうして、あんなことが言えたんだろう。
慧は一度だって、
おれを傷つけるような言葉なんて吐いたことない。
それどころか、いつも……
「ケイはきっと、助けなんて望んでない。」
「……え…?」
「君に、危険なんか冒してほしくない、と思ってる。」
「っ……、」
「言っただろう?ケイは、とても幸せだったんだ。」
「っ…、お、おれだって…っ、」
「…ああ。石なんてとっくの昔に関係なかったんだ。ケイにとっても、君にとっても。」
ドクン…… __
反射するものすべてに映る、この赤が、大嫌いだった。
他人の目に映る、この赤は、とても醜く歪んでいて。
この眼と共に、自分も消え去ればいいとさえ思った。
でも、
「涼介、一緒に行こう。」
慧の淡い色の瞳に溶け込む赤は、
「ふたりなら、どこへだって行ける。」
いつだって、綺麗だった。
「…握ってみて。」
そう、ケイトは俺に、慧が持っていたものと同じペンを、
「おい、」
「いいから。」
ユウトの制止を気に留めず差し出した。
言われるがままにそれを握ると、
ズンッ…!!
「っ…!」
慧のものよりも、ずっと立派な剣へと変貌した。
「武術は俺が、剣術はユウトが訓える。」
「え…、」
「っケイト、何言って、」
「ユウト、」
ケイトが静かにユウトを見つめて、
「…彼だと思う。」
「っ……、まさ、か…、」
発した言葉は、俺の耳には届かなかった。
微かに赤く光り出す、握りしめたその剣を見つめる、
眼の奥が熱くなるのを感じながら、
「ふふっ、りょうすけ。」
いつだっておれに微笑む、あの人を救うこと以外に、
なにひとつ、考えることなんかなかったから。
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Link(プロフ) - 青空と虹さん» 本まで読んだんですね!私は映画だけですが、同じく大好きなんです。こうしてパーシーのお話をできるのが嬉しいです。お話の続き、楽しみにしてくれてありがとうございます。私の話はぶっ飛んだ内容ばかりですが、楽しんで頂けるよう頑張ります! (2018年3月9日 7時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - Linkさん» 合っててよかったです!!パーシージャクソンは大好きで、本も全部読んでいたのですが、確かに山田さんに雰囲気似てるかも…!パーシージャクソンの片鱗を探しながら、楽しみに読ませていただきます^^* (2018年3月8日 14時) (レス) id: 66b7c3c525 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - 青空と虹さん» はじめまして!コメント読んだ瞬間ににやけてしまいました!ついにわかる人が!と。そうです、パーシージャクソンです!主人公の雰囲気が山田さんに似てるな(勝手な見解です)というとこから妄想を膨らませました笑 コメント本当に嬉しかったです。ありがとうございます (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - chieさん» chieさん、いつもありがとうございます!コメント頂く度に励まされます!ふたりの行く末を見守ってください。楽しんで頂けるよう頑張ります! (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - めぐみさん» めぐみさん、ありがとうございます!大好きというお言葉だけで、このお話が救われます。続きを楽しみにしてくれてありがとうございます。これからもよろしくお願いします! (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
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