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「…申し訳、ありませんでした…。」
そう、俺の隣に座る慧は、ふたりに向かって頭を下げた。
使いとしての役目を果たせなかったことを謝ってるんだろう。
「何言ってる。ケイはよくやってくれたよ。」
「そうだよ。彼と石をここまで守り抜いてきた。」
ユウトとケイトが口々にそう微笑み、対して何も答えれずに俯く慧。
その会話にも、慧の様子にも、吐き気がする。
そんな俺を他所に、
「ここから舟まで、俺たちも共にするから、安心していい。」
ユウトはそう告げ、
「少し休んだら出かけよう。手術の準備は整ってる。急がなければ。」
ドクン…… __
ケイトのその言葉に、胸が押し潰されそうになった。
「……手術が終われば、」
静かに、突然話し出した俺に、
「…舟はそのまま帰るの?」
耳を傾けるユウトとケイトに対し、
「………。」
隣の慧は、震えながら俯いた。
「ああ、そうだよ。君の眼も普通に戻る。」
そのユウトの返事は、堪らなく不快で、
「…もどる?…俺の眼は最初からこうだった。」
俺は挑発的に睨みつけた。
「…君がその眼のせいでとても辛い思いをしてきたのは、知ってるよ。けれどそれも終わりだから。君はもう自由になれる。」
ケイトは、宥めるようにそう話したけれど、
「…終わり?自由?…なんだよ、それ。」
納得なんかできるわけない。
できるわけ、ない。
「涼介…、」
慧の、俺を呼ぶ震えた声を無視して、
「慧はどうなるの?」
俺は一番知りたいことに核心をついた。
「…帰るよ、俺たちと一緒に。彼の使命はこれで終わるから。」
ユウトのそれは、俺が最も聞きたくなかった答え。
「…りょ、すけ……、」
「……ふざけんな…、」
この場から逃げ出したい。
この、目の前の現実から。
そう、咄嗟に感じた俺は、
ガタンッ…
「涼介!」
慧の声を背に、店を走り出た。
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Link(プロフ) - 青空と虹さん» 本まで読んだんですね!私は映画だけですが、同じく大好きなんです。こうしてパーシーのお話をできるのが嬉しいです。お話の続き、楽しみにしてくれてありがとうございます。私の話はぶっ飛んだ内容ばかりですが、楽しんで頂けるよう頑張ります! (2018年3月9日 7時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - Linkさん» 合っててよかったです!!パーシージャクソンは大好きで、本も全部読んでいたのですが、確かに山田さんに雰囲気似てるかも…!パーシージャクソンの片鱗を探しながら、楽しみに読ませていただきます^^* (2018年3月8日 14時) (レス) id: 66b7c3c525 (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - 青空と虹さん» はじめまして!コメント読んだ瞬間ににやけてしまいました!ついにわかる人が!と。そうです、パーシージャクソンです!主人公の雰囲気が山田さんに似てるな(勝手な見解です)というとこから妄想を膨らませました笑 コメント本当に嬉しかったです。ありがとうございます (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - chieさん» chieさん、いつもありがとうございます!コメント頂く度に励まされます!ふたりの行く末を見守ってください。楽しんで頂けるよう頑張ります! (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
Link(プロフ) - めぐみさん» めぐみさん、ありがとうございます!大好きというお言葉だけで、このお話が救われます。続きを楽しみにしてくれてありがとうございます。これからもよろしくお願いします! (2018年3月8日 9時) (レス) id: ce80a0a1da (このIDを非表示/違反報告)
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