a drop of orion

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ここは、


どこだ……？




目の前には、大きな、城……？


いや、テレビで観たことある。


遠い外国の、宮殿…、そう、宮殿だ……。



なんで、なんで俺はこんなところに…







ー リョウスケ ー





ドクンッ…… ＿＿



「っ、だれ……、」



低い、男の声が、響いた。




けれど、



振り返っても、周りを見渡しても、




だれも、いない……







ー リョウスケ ー



「っ…、」



また声が聞こえる。






ー その石を、届けてほしい ー





「……い、し…？」





ー おまえを、守るために ー





「……ま、もるって、…なんの、ことだ…、っ誰なんだよ！」







ー 大切な、息子よ ー





ドクンッ…… ＿＿＿





「……むす、こ……？」






ー おまえをいつも、想ってる ー






.







.








「涼介、涼介、」

「っ…、」


ペチンッと、頰に微かな痛みを感じて、


「………けい…？」


目を覚ました。



ガタンゴトン、ガタンゴトン、と響く音と、感じる振動が、


「……寝て、た…。」


さっき乗り替えたばかりの、準特急の中だと教えてくれた。



「…大丈夫？…うなされてたから…、」


ひどく心配そうに俺を見つめる慧を前にして、さっきのは夢だった、と理解できた。





けれど、それも束の間、



慧の背後に見えた、



「…慧、」



次の駅のホームに、




一瞬、




「奴がいる…。」





あの、黒ずくめの男が過ぎった ＿＿＿




.

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