怪盗は宝を盗み探偵は謎を解く

貞神 孝佑【怪盗学園/レイレイン】 ページ16

「ふー…。」



辺りに舞う桜の花弁に目もくれず、キセルを吸う男性がいた。

怪盗学園教師、貞神 孝佑だ。



「言っておくが、ジジイじゃねェ。俺ァまだ53だ。」

念を押すように此方を見やり言う貞神。


53って結構年いってるじゃないか、その声はナレーターとして飲み込もう。



しかし、小説でこのような物(カメラ目線)があるとは驚きだ。




キセルから出る煙が、花弁より高く上る。



教師とは思えぬようなやる気の無い瞳。そもそも校内でキセルを吸うなど…。



反面教師の彼は紺色の着流しを翻し、学園生徒が集まる場所へ目を向けた。




「何だァ、個性の強ぇ奴ばっかじゃねーか？」



はー、今年を苦労するねェ。


貞神は呟く。



そこへタタッ、と足音が。


「貞神先生！」


怪盗学園の職員だ。



「何だ？」


「一人きていない生徒がいます！」


「それは誰の事だ。」

そう訊き返した貞神だが頭の中には一人の人物が浮かんでいた。


「――です！」


「……やっぱりか。」



貞神は少し考え込むような素振りを見せた後、



面倒くさそうに手を振った。




「もう良いんじゃねェか？アイツ毎年ダブってんだから今年だって変わんねェだろ。」




コイツ…本当に教師か？


そんな職員の引いたような目線を浴びながら貞神は学園生徒が集まる場所に足を向けたのだった。

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