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ご訪問 ページ2

「終わった…。」

呟くと同時に自宅の玄関に倒れ伏した。
漸く今年の放烏を終えた。任は恙無く遂行できた。烏もきちんと足りた。最後の追い込みもあり、烏達の能力、士気、共に十分であろうと思われる。

「まあ、お帰りなさい、お疲れ様。
 そんなところに寝ていないで、身体を起こしなさいな。手拭いを持ってくるから少し待ってね。」
「湯船に浸かりたい…。」
「そう思って頼んでおいたわ。でもそんな汗臭くて帰ってきたままの格好ではいけないでしょ。」
「はぁい…。」

この村は一軒一軒風呂があるわけではない。何せ古い家が多いし、大工のような人がいるわけではない。街までは随分あるから街の大工に頼むのもどうかという感じだし、鬼殺隊に関係の無い人間にこの村を見せることは好ましくない。そもそも毎日各家庭で大量の湯を沸かして結局捨てるのは水の無駄遣いだ。だから、村長の家に一つ大きめの風呂があって、男の時間、女の時間を決めてあって、みんなでそこを使う。ちょうど大衆浴場のような感じだ。だから、一応他人様の家に上がらせていただくわけであるので、確かに今の格好のままは良くない。

「ああ、そうだ。母さんも後から向かうから、もうそのままあちらに居させてもらいなさい。チヨ子さんを手伝うといいわ。」
「はいはい、わかりました。」
「返事は一回!」
「はぁい。」

毎年放烏の後には村の皆で集まって宴会を開く。今年も優秀な隊士様が入隊された事、そして一人前の鎹烏を送り出せた事を祝うための宴会だ。当然村長の家の広間で行われる。村長の奥様は準備で忙しいだろうから手伝えというわけだ。…私は放烏から帰ったばかりなのだけれど。おっとりしているように見えて容赦の無い母だ。

藤襲山から村へはかなり歩く。産屋敷様の御屋敷まででも、烏匠の歩行法を以てしても半日かかる。藤襲山へはそこから更に歩くので、帰りは途中旅籠に一泊しつつゆっくり帰る事になっている。つまり本日は最終選別終了から一夜明けたその日。早い烏は明日には健康診断に来る。そんなわけで今晩の宴会は束の間の羽目を外して良い機会なのである。この村はある意味で無法地帯、村長が法律であるので、烏旭は流石によくないが、私は十九も二十も変わらんという事でお酒を頂く事が許されている。程程に嗜むとしよう(※良い子は真似しないでください※)。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇 , 鎹烏
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あさ(プロフ) - stereogirlさん» こちらでもコメントありがとうございます!とっっっっても嬉しいです!どうぞやきもきしてください!頑張ります! (2020年8月8日 0時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - 続編突入おめでとうございます!一読者として嬉しく思います。「相談事」の回にあった、しのぶさんが後に愛しく思い出せる状況になるまで、同じくやきもきしながら見守っていきたいです。今後の更新も楽しみにしております。 (2020年8月7日 18時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あさ | 作成日時:2020年8月7日 0時

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