【鬼滅の刃】鎹烏の訓練士【冨岡義勇】

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烏旭に烏の名前を聞くと、現水柱である冨岡様付の寛三郎さんだということが判明した。あんな爺ちゃん烏を柱様に付けてるのかいと烏旭は目を剥いていた。取り敢えずわかったと烏医者に伝えるように烏旭に言い、駄賃に幾つかの飴玉と、お世話になる礼に母の作った大福を持たせた。

「じゃあね！」

手を振って歩いて行く烏旭に手を振り返し見送った。歩いて行った方向から察するに、これからまた他の烏匠も訪ねるのだろう。働き者である。

それにしても、冨岡様の烏か。なるほど、道理でといった感じだ。烏旭の言うようにあの烏は烏としてはかなりお爺ちゃんなのだ。だって生きている年数で言っても私より年上だし、もっと言うと冨岡様より年上だ。とうに引退していておかしくない、どころか引退していない事がおかしいような年だけれど、冨岡様と相性が良いのかまだ辞めたくなさそうであるし、冨岡様も代える必要は無いと文に書いていらっしゃる。

主人と烏の仲が良いのは良いことであるし、本当に本格的に任務に支障を来すようになれば、流石に交代をあちらから申し入れなさるだろう。何も私が無理矢理引き裂いてやる事などない。

それにあの烏は事情もある。

夕餉をいただき終え、お湯をいただく前に冨岡様への文を書いておくことにした。明朝にも代わりの烏を派遣して、その時にこれを持たせることにする。烏匠の印を捺しておけば円滑に行くだろう。

前略
　冨岡樣に於かれましては益益御健勝の事と存じます。
　さて、此の度の檢診で、冨岡樣の烏の藤の藥が薄まつてゐる事がわかりました。因つて、藥が定着する迄の間、冨岡樣の烏を烏醫者の方でお預かり申し上げます。暫くは參らせました烏を代りにお使ひ下さい。檢診の結果、退院日等、仔細は追つて正式に御報告致します。
　冨岡樣の益益の御活躍、御多幸を切にお禱り申し上げます。草草
時候の挨拶などを熟熟書く必要は無いだろう。お忙しい鬼狩り様、それも水柱様である。取り急ぎ用件のみを伝えればいいだろう。

さて、代わりに遣る烏の支度をしなければ。

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