【鬼滅の刃】鎹烏の訓練士【冨岡義勇】

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「では、代わりの烏は追って派遣致します。二羽遣りますから、交代で仕事に当たらせるようにお願いしますね。
　何かあればまた文などで。」
「応、助かる、ありがとうなァ。」

烏医者の報告に依ると、風柱様の烏は働き過ぎだった。何せ風柱様、頑丈な身体と悪鬼滅殺の高い志故に、毎晩毎晩駆け回っては鬼を狩っているとの事。鎹烏だって普通の烏よりはずっと強いけれど、あくまで鳥であるので、人間の、それも風柱様ほどの方に付いていくのは大変だったという事だろう。ただ、本人が治ればすぐにでも復帰したいと言っているので、烏医者と相談して、療養という事で暫く休ませてまた風柱様に付ける事にした。

しかし思っていたより烏医者の報告が遅くなり、割と長い時間話していたので、風柱様に対して緊張する事は無くなっていた。お目に掛かる前は、私の命日は今日か、来年の放烏を誰に頼もうかなどと考えていたけれど、蓋を開けてみれば正しく杞憂であったのだった。大変失礼致しました。

烏匠について興味がお有りなのか、熱心に私の話も聞いてくださっていたが、突然私の歳をお訊ねなさって今年十九になりましたと言うと目をひん剥かれた。顔立ちが大人びているから二十二三くらいかと思ったとおっしゃるので、私の兄が二十一でございますからと返すとまた目をひん剥いていらした。それで、俺と同い年なのかとおっしゃるので今度は私が目を剥く番だった。だって風柱様、言っては何だけれど幼い顔立ちでいらっしゃるから。目の縦幅なんて私の三倍くらいありそうだもの。年下くらいだと思っていた。

暫く互いに驚き合った後、しかし何だ、お前さんその年で立派なもんだなァなどとおっしゃる。さっぱり意味が解らなかった。何が立派なものか。私がしている事は父の猿真似でしかないのだろうと思っている。みんな褒めてくれるけれど、一人前でもきっとない。若いとか、女だとか、そういった条件が私を特別に見せているだけだ。しかし風柱様は私の困惑顔に気づいていらっしゃらなかったようで、もういくつかお褒めの言葉を頂戴した。よくわからない。

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