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「これ、母さんから頼まれました。」
「ああ、ありがとう。助かるよ。」
靴と羽織を包んだ風呂敷を渡す。兄さんは隊服の時も烏匠の靴を履く。羽織も烏匠の使う物を着る。靴に関しては慣れているからだと思う。草履に比べれば脱げにくいので、これを履き慣らすと草履で戦うのは反って難儀だろう。羽織は単に肌に合うのだと言っていた。
頂いたもなかは美味しかった。些か上品が過ぎて甘味が足りない感はあったが、美味は美味だ。華族様なんかはああいう薄味の御菓子を好まれるのだろうか。味覚まで上品で結構なことである。
「お変わりありませんか。他に欲しい物や足りない物は。」
「特に無いよ。というかね、俺だってきちんと御給金を頂いてるんだから、そんな事心配しなくたっていいんだよ。この前、階級が上がったんだ。今度は戊だよ!」
実に一年ぶりの訪問になるが、昇級していたらしい。大層誇らしげに言われるが、私は鬼殺隊の階級について詳しくない。順番もよく解らないので、兄がどのくらいの数の、又はどのくらいの強さの鬼を討伐したのかも知らない。抑も烏匠にとって、どの隊士様がどの階級に属されるかなんて、正直なところどうでもいいのだ。どの隊士様にも万全の烏を遣わすのが烏匠の使命であるので、気にする理由が無い。
「はあ、おめでとうございます。
育手の方に御報告は差し上げましたか。」
「勿論。」
また当然というように頷くけれど、私は忘れていない。前に辛になったとか言っていた時、同じ質問をしたら、しまったという顔で言っていないと言ったのだ。この兄は筆まめな方ではないので、言わなければ書かないのだ。字だって手癖で好き勝手に書くので、本当は綺麗な字を書けるのにもったいない。もういい大人なのだからしっかりして欲しい。冨岡様を見習っていただきたい。確か冨岡様と兄は同い年の筈だ。あの丁寧な文章と流麗な達筆をここで見せる事が出来ないのが口惜しい。
「そうですか。まあ、
眞實くんというのは烏末さんの三男坊で、鬼殺隊士だ。烏匠は大抵長男が継ぐので、次男三男は隊士や隠として貢献しようと考える人が多い。お隣の三男坊に負けたとあってはこの兄も黙っては居られないだろう。もう少しでいいから筆まめになってくれるといいけれど。
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あさ(プロフ) - 光華さん» コメント自体は本当に有り難く嬉しいので、どうかお気を悪くされない事を祈ります。再度、コメントありがとうございます (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - 光華さん» 頻繁に改行をするものではなく、この書き方は私のポリシーとして出戻る前から確立されています。幼い頃から沢山の本を読み漁って確立された価値観ですので、申し訳ありませんが変える事は出来ません。占ツクでは万人受けしない事は承知の上ですが、ご理解お願いします。 (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。有り難い御意見ではあるのですが、途中で書きました通り指数が毎話ギリギリになってしまっていて、改行分の字数すら惜しいくらいになっています。それから、私の中での文章や小説というものは、(例によって字数が足りませんので続きます) (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 行間をもう少し空けたらどうでしょうか (2020年8月7日 6時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます!とても励みになります。割とこだわっている部分なので、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますのでお付き合いお願いします。 (2020年7月15日 0時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさ x他1人 | 作成日時:2020年5月28日 1時