【鬼滅の刃】鎹烏の訓練士【冨岡義勇】

放烏 ページ3

来年の放烏に向けて、この頃私は休みという休みの無い毎日を送っている。鬼狩り様方の少しでも強い助けになれば、そんなに嬉しい事も無いので、それを辛いとは更更思わないが。それに、生意気な烏も多いけれど、長く共に寝起きをしているわけで、愛着というのは当然ある。可愛いものは可愛い。

しかし本日はそれも休みなのである。なぜなら本日は鬼狩り様方の最終選別六日目、つまり放烏へ出立する日だからだ。今年の放烏は担当ではないものの、いくさ場へと旅立つ烏たちを見送るこの日は、私にとってだけでなく村にとって一年で一番重要な日と言っても過言ではない。産屋敷様の御誕生日と同じくらい重要だ。

それに、今年は担当ではないが、私が世話をした鎹烏ならぬ鎹雀を送り出すことになっている。本当なら、私の担当年である来年、私の烏達と一緒に送り出してもよかったのだけれど、何せ雀の寿命は烏より短い。野生の雀より長生き出来るとはいえ十ほどであるし、その上訓練も大分時間が掛かってしまったので、出来るだけ早く送り出してやりたかった。

烏から今朝一番の伝達に依れば、今回の最終選別では六日目の今現在、生存者が七人だそうだ。よって、鎹雀のうこぎを含め、七羽を連れて行く事になる。これからもしかしたら一人二人減るかも知れないが、増える事は無いので。烏達は藤襲山と村を往き来して、逐一状況を報告してくれる。

聞くところに依れば、今回の最終選別には、元水柱鱗滝様と元鳴柱桑島様、現蟲柱の胡蝶様、御三方それぞれの門下の方々が参加していらっしゃるとか。隊士になった暁にはきっとご活躍なさる事だろう。

「では行ってくる。」
「行って参ります。」

「二人とも道中気をつけるように。
　それから、呉呉も産屋敷様に失礼の無いようにな。」

今年担当の烏末(からすえ)さんと一緒に、村の皆に挨拶をする。村長(むらおさ)は心配性で、毎回同じ事を言う。気持ちは解るが。何せこれから産屋敷様の御屋敷に向かい、ご挨拶をするのだ。そしてそのまま明日放烏という事になる。

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